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2008年12月30日(火) 今日の行程は、東北地方を横断して太平洋側の釜石まで行くこととなっている。 8時過ぎにホテルをチェックアウトして駅へと向かう。今は薄日も射しているが未明に降り積もったようで、歩くと足裏に来る新雪の感触が心地良い。 靴裏に付いた雪を落としながら駅舎に入ってみると、列車遅れの案内放送が聞こえてきた。どうやら羽越線は相変わらず風が強いようで、寝台特急の[日本海]と[あけぼの]がそれぞれ50分程度遅れているとのこと。本行程では、羽越線は明後日通過する予定になっているので、運休や遅れに巻き込まれないか心配になる。が、今日は内陸から太平洋側へと向かう行程なので直接の影響はないだろう。 改札口で青春18きっぷに2日目の日付印をもらって入場。 跨線橋を渡ってホームへ向かうと、遅れていた[日本海]が到着し、20名程度の乗客を降ろす。年末の多客期対応で増結されているので、往年のブルートレインを彷彿とさせる姿で、通路の補助椅子に座っている乗客も多く見える。 [日本海]が青森へ向けて発車して暫らくすると、当駅止まりの花輪線の普通列車が到着。これが折り返し盛岡行きとなるので乗車する。 ◆第23ランナー:花輪線盛岡行き普通(大館8:40→好摩11:01) 空席ちらほら程度の乗車率で大館を出る。すぐに右へカーブを切って奥羽線と別れ、左へ大きくカーブを切りながらオーバークロスする。 雪化粧した街並みが朝日を反射して眩しい。が、町並みはそう長くは続かず田園地帯に入っていく。遠くに見える山は意外と雪が少ない。 米代川に沿って遡上し、十和田南で進行方向が変わる。八幡平を出ると米代川は渓谷となって、右へ左へとカーブを切りながら山へと分け入って行く。 いつの間にか雪雲が陽光を遮って、ちらほら雪が舞っている。湯瀬温泉で10名程度乗ってきたのだが、ホームに降り積もった雪を靴に付けたまま乗り込んでくるので、びしょ濡れになった車輌の床で滑って転びそうになる人も何名か。昔は、雪国を走る車輌といえば床は板張りで、雪が融けた水滴もすぐに染み込んだものなのだが。 雪は次第に激しくなって赤坂田では吹雪になるが、トンネルを抜けて安比高原に着くと一転して晴れ間も出て来た。 長川の細い流れに沿って緩い下り勾配を下って行くと、田園地帯に出て民家も多く目に付くようななる。 やがて、左から複線電化の立派な線路が寄り添ってきて好摩に到着。ここから先はIGRいわて銀河鉄道(以下、IGRと略記)に乗り入れる。 IGRは、東北新幹線八戸延伸開業時に並行在来線の東北線(盛岡〜目時間)を転換した3セク鉄道事業者である。3セク転換したとはいえ元東北線なので列車本数はそこそこある。この先乗ることになっている山田線との接続も悪いので、好摩で途中下車してみよう。 好摩は、地形の関係で分岐駅になっただけだろう小さな駅だった。駅前に建っている観光案内看板には石川啄木に関する施設が多く書かれているが、それらを訪問するならここより渋民駅の方が近い。観光客に媚を売る必要もないからだろう、ヘンに手を加えられていない素朴な駅舎は味があってよろしい。待合室を兼ねている駅舎内には、TVはなくてラジオの音声が流れている。 そんな駅舎に似つかわしくない自動券売機で盛岡までの乗車券を購入して改札を通る。駅舎やホームや跨線橋などは昔ままで、雪に覆われているが広い構内も国鉄時代を髣髴とさせる好摩駅だが、駅名票はIGRオリジナルのものに変っていて、この駅には些か似合っていないなと思う。 ◆第24ランナー:IGRいわて銀河鉄道盛岡行き普通(好摩11:32→盛岡11:56) 盛岡行き普通列車がIGR7000系電車の2両編成ワンマン運転という姿で入線してきた。形式名が示す通りIGRが保有する車輌だが、モノとしてはJR東日本の701系とほぼ同じ。 半分ぐらいの席が空いているという、乗る側にとっては理想的な乗車率だ。東北新幹線八戸延伸開業までは特急街道だったので、線形は良いし線路も立派。普通列車でも運動性能の良い電車なので速い速い。 好摩から24分で盛岡駅1番ホームに到着。 どうやらJRとはエリアが分けられているらしく、JRに乗り換えるにはIGRの改札を出場して駅ビルの商業施設を抜けてJR改札から再入場しなければならないようだ。 さて、前述の通りここから先のルートは山田線なのだが、運転本数が極端に少なくて、好摩で1本落としてきてもまだ次の列車まで2時間近くある。この辺りには特に寄り道するところもないので、この時間を利用して盛岡名物わんこそばに挑戦しようと思う。
つゆが飛ぶからと前掛けを着けて準備完了。給仕のおねぇちゃんから一通りの説明を受けて、いざ開始。 椀を持った左手を差し出すと、給仕のおねぇちゃんが「はい、じゃんじゃん♪」の掛け声とともにそばを入れる。それではと啜り、ん!美味い!と思う間もなく次のそばをおねぇちゃんが差し出しているのが目に入る。反射的に左手の椀を差し出すと、「はい、じゃんじゃん♪」 話には聞いていたが、急かされるような感じでゆっくり味わう暇などない。15杯目を受けたところで、「これでもりそば約1枚分です、次持ってきますので少々お待ち下さい。」と言っておねぇちゃんは厨房へ向かう。 ふぅ・・・かなり美味いし面白いぞ。しかし、そばを食ってる間は薬味に手を付ける暇などないので、おねぇちゃんが居ない間に椀の中に薬味を準備しておかねば。 1分ほどでおねぇちゃんが戻ってきて再開。「はい、じゃんじゃん♪」「はい、どんどん♪」「はい、まだまだ♪」・・・ 成人男子の平均は50杯程度らしいのだが、30杯終了段階ではまだまだ余裕。取り敢えずの目標を3桁に定める。60杯を過ぎた頃からペースが怪しくなるが、ベルトを緩めると楽になってペースが戻った。 そして90杯終了。おねぇちゃんから「まだまだ行けそうですね」と声を掛けられるが、「いや、そろそろ限界に近いですよ」と答えておく。正直言うとまだ余裕がないことはないのだが、遠征先で無理して体調を崩しても馬鹿馬鹿しいので、100杯で止めておこうと思う。それまでは数えてなかったが、91杯目からは1杯ずつ頭の中でカウントを始める。そして100杯目を啜り終わって椀の蓋を持とうとしたら、「はい、じゃんじゃん♪」・・・椀には既にそばが入っている。「そばを入れる前に蓋して下さいね♪」おねぇちゃんが笑顔で言う。 ぬぅ・・・。 啜りながら蓋に手をやるが、閉める前に「はい、じゃんじゃん♪」とそばを入れられてしまう。 そして105杯目、おねぇちゃんの手元にそばがなくなるので閉めるチャンスと思ったが、「私が見ている時に蓋しないと終われませんよ♪」と笑顔で言い残して厨房へ次を取りに行った。 ぬぅ・・・。 次のそばを待つ間に作戦を練り、106杯目を入れられたら啜る前に蓋をし、蓋ごと椀を掴んで左手親指で蓋を浮かせて隙間から啜って戻した。これでは次を準備していたおねぇちゃんも入れることは出来ず、漸く終了である。「お疲れ様でした♪」という労いの言葉とともに、おねぇちゃんは証明書に106杯と書き込んでくれた。 で、「このあとデザートがありますから少々お待ちくださいね♪」だと。 ここの給仕はSでないと務まらないなと思いつつも、出てきたデザートもちゃーんと完食して勘定へ。三千円の昼食は高いと思わないでもないが、もりそば7枚分と思えば安いもの。100杯以上なので記念の手形を差し上げるというので、ありがたく頂戴してきた。 と、こんなことを書いてるとまた挑戦したくなってきた。次回は遠征最終日に組み入れて、限界まで食べてみたいものだ。 駅に戻り、JR側の改札から入場。コンコースは新幹線からの下車客と思しき人が多くて賑やかだが、在来線へと向かう跨線橋に入ると人通りが少なくてひっそりした感じ。 頭上に駅ビルの建物が覆い被さって薄暗い盛岡駅2番線に、キハ111とキハ112の2連が入線してきた。これが山田線宮古行き快速[リアス]となるので乗り込む。 ◆第25ランナー:山田線宮古行き快速[リアス](盛岡13:51→宮古15:52) 3時間半振りの宮古行きということで、立つ人も多い乗車率となって盛岡を出る。なんとかロングシート部分に座れたが、人いきれで窓が曇る。隣に座ったのが小さい子だったので、身体を捻って窓を拭って狭い車窓を眺めることにした。 山岸を過ぎると市街地は尽き、上米内を出ると陸中川井まで1時間以上停車しない。途中の大志田駅は、下り1本上り2本しか列車が停車しないものすごい駅だ。スイッチバックのホーム跡が雪に埋もれているのが辛うじて確認出来た。 雪深い山の中を淡々とした走行が続く。最初は賑やかだった車内もいつしかお昼寝タイムとなったようで、こちらにも睡魔が襲ってくる。我慢して眺める車窓も真っ白で、たまに真っ暗になった思うとトンネルだ。 やがて雪雲の合間から太陽が顔を出す。積雪も少なくなってきたかな?と思ったところで陸中川井に停車するが、乗降は少ない。 陸中川井を出ると閉伊川に沿って下り勾配を下って行く。めっきり積雪も少なくなり、夕日が照り付ける車内はかなり暖かい。 陸中川井から14分で茂市に着く。多くの人が降りていくが、接続する岩泉線の列車に乗り換える人も結構いる。 空席ちらほら程度の乗車率となった快速[リアス]は、引き続き閉伊川に沿って淡々と走る。やがて左から三陸鉄道が寄り添ってきて宮古に到着。 宮古では3分乗り継ぎながら跨線橋の昇り降りを伴う。慌しく乗り換えてみれば、キハ100を4両も繋いでいるので余裕で着席。というか、先頭車両は私を含めても3人しか乗っていない。 ◆第26ランナー:山田線盛行き普通(宮古15:55→釜石17:07) という訳でボックスシートを占領し、靴を脱いで前の席に脚を伸ばす。昔の鉄道旅行ではそこらじゅうで出来た体勢だが、今の時代にこれを出来るのは稀である。暮れ行く車窓を眺めながら、今日もまた旧き良き時代の鉄道旅行を思い出した。 宮古の街を抜けてひと山越えると、左の車窓遠くに海がチラリと見える。宮古湾の奥まったところなので、昨日見た日本海とは違って波はなく穏やかだ。 少し内陸に入って津軽石に停車した辺りで日が暮れて車窓を楽しめなくなる。とはいえ、山田線が沿う三陸海岸はリアス式なので忠実に海岸線をトレースする訳にいかないので、ほとんど海が見えないのは確認済みである。 列車の揺れに身を任せ、真っ暗な車窓をぼんやりと眺める。そんな中、吉里吉里や鵜住居といった駅名票を見るのが唯一の楽しみだったりする。 そんなこんなで、宮古から1時間強で釜石に到着。今日の行程はここで終了である。 冷たい風が吹き付ける道を、予約してあるホテル目指して歩いた。
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