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電車王国の底辺を支える普通電車たち
Part.6(南海本線;難波〜和歌山市)
難波発和歌山市行き普通電車

運転系統一覧(取材時のデイタイム1時間当たり運転本数)
 
難  波
泉 佐 野
樽   井
みさき公園
和歌山市
特急ラピート
(南海本線/空港線)
特急サザン
(南海本線)
空港急行
(南海本線/空港線)
急行
(南海本線)
普通
(南海本線)

取材対象列車のデータ
運転区間
中間駅数
走行距離
平均駅間距離
運転時分
表定速度
待避等
難波→和歌山市
38駅
64.2km
1.65km
107分
36.0km/h
6回

注:赤文字部分をクリックすると、新しいウインドウを開いて写真を表示します。

2002年8月31日(土)

関西民鉄のターミナルでは、10面9線の頭端式ホームを持つ阪急梅田駅が有名だが、南海難波駅も9面8線と規模が大きい。関空/和歌山/高野山へと向かうカラフルな特急列車が発着している分、こっちの方が華やかとも言える。

それはともかく、今日は普通電車の旅。南海本線では普通車と呼ばれるのだが、これはあくまで列車種別であり、グリーン車などの特別車両に対する一般車両の名称などではない。
また、南海では[普通][各停]が明確に区別されており、南海本線に各停は走っていない。これについては、追って説明するとしよう。



13時23分、7番ホームに和歌山市からの普通車が到着。折り返し、13時27分発の和歌山市行き普通車となるので、例によって先頭車の運転室直後に陣取る。列車の編成は7100系の4連で、車内はさらりと座席が埋まるぐらいの乗車率。
近畿地方には相変わらず太平洋高気圧が居座っていて、今日も晴天で残暑が厳しい。

難波を出ると、9本の線路が徐々に収束していくが、最終的には4本が残る。本線と高野線の線路別複々線だ。と、高野線の線路に小さな駅(今宮戎駅)が見えるが、本線にはホームはなく、我が普通車も通過する・・・というか、停車できない。
このように、本線の普通車は決して各駅に停まる訳ではないので、[各停]ではなく[普通]という列車種別なのだ。一方、高野線の普通は各駅に停車するので、列車種別を[各停]として区別されている。つまり南海では、[普通]は最下級の優等列車なのである。(前面の列車種別識別灯も、一つ点灯させている)

最初の停車駅新今宮に到着。JR大阪環状線/大和路線との連絡駅で、乗降はかなり多い。新今宮を出ると萩ノ茶屋を通過。とはいえ、今宮戎と同様に本線にはホームがないのだが。

次の停車駅は天下茶屋で、ここから先は各駅に停車する。私、昔から最も大阪らしい駅名は天下茶屋だと思っている。特に、ひらがなでてんがちゃやと表記されると、語感までもが伝わってきて思わず頬が緩む。
そんな天下茶屋駅だが、ここ数年の発展振りには目を見張るものがある。大阪市営地下鉄堺筋線がここまで延伸されて乗換駅になったし、一部のラピートαを除いて全ての列車が停車する。昔の天下茶屋駅を知るものには、隔世の感である。
当然、我が普通車にも乗降客が多く、80%程度の乗車率となる。

岸里玉出で左に高野線が別れていくと、本線は方向別複々線になる。方向別複々線は、外側同士内側同士がセットになる例が多いのだが、ここでは和歌山方面に向かって左側(山側=東側)が緩行線となっている。つまり、下りの緩行線は外側を走るのだが、上りの緩行線は上下の急行線に挟まれて走る格好だ。

阪堺電軌との連絡駅である住吉大社に停車。ドアが開くと同時ぐらいに、ホームの向い側(急行線)をラピートβ59号が猛然と追い越していく。ラピートの速達性を維持する、上手いダイヤが組まれているのだ。
右に住ノ江車庫が見えてくると住ノ江で、複々線はここで終了。大和川を渡って堺市に入り、高層マンションを左右に見上げながら淡々とした走行で堺に到着。ここで、空港急行と緩急接続を取る。

空港急行への乗り換え客が多く、我が普通車の車内は閑散としてしまう。堺を出ると、身軽になったのか走りも軽快な感じ。
難波から続いてきた高架橋も、石津川を渡ったところで終了。地平に降りると諏訪ノ森駅で、踏切を挟んで互い違いにホームが設置されているので、いきなり田舎の雰囲気が漂ってくる。

阪堺電軌阪堺線をアンダークロスして浜寺公園に停車。徐々に乗客は増えてきていたのだが、ここで一気に減ってしまった。夏休みの終盤、浜寺公園へ遊びに行くのだろう家族連れの姿もチラホラ。

高石で特急サザンを待避。あちらはよく乗っているようだ。
不意に、左隣に真新しい路盤が姿を現す。既にレールが敷設されている個所もあるし、松ノ浜と泉大津にはホームも出来上がっている。断言は出来ないが、高架化のため、一旦 下り線を東側に移設する工事のように見える。
その泉大津では、再び空港急行と緩急接続を取り、更にラピートα19号を待避。

左に寄り添っていた新しい路盤は、大津川を渡る手前まで続いていた。
この辺りまで来ると、住宅地の合間に水田が多くなる。和泉大宮を出ると、高架橋に駆け上がって岸和田に到着。先ほどから、岸和田祭りの副票を掲げている列車を多く見掛けるが、だんじりで有名な岸和田祭りが2週間後に迫っている。そのせいか、街はどことなく落ち着かない雰囲気なのだが、高架化された岸和田駅は駐車場のビルに突っ込んだようにホームが設置されているので、昼間でも非常に暗くて陰気な感じがする。

岸和田を出ると、右にカーブを切りながら地平に降りる。
貝塚は、南海本線には珍しい橋上駅。南海が、連続立体交差にするから待てというのを、時の貝塚市長が無視して駅前再開発の一環として橋上駅舎化してしまったため、貝塚駅北側にある交通量の多い踏切を解消出来なくなってしまった。周辺住民にとっては迷惑な話である。
#と、貝塚市在住70年の父がぼやいとった・・・。

貝塚駅の南側にも交通量の多い踏切があったのだが、こちらは右に左にカーブした高架橋で立体交差が成されており、地平に降りたところが二色浜。未だに構内踏切が稼動していて、時代が一気に20年ほど遡ったような錯覚に陥る。

空港線を分岐する泉佐野は、上り線のみ高架化が完成し、供用が始まっていた。ここで、和歌山市行き急行と緩急接続を取る。高架工事の足場を右に見つつ、空港線を分岐してJRの関西空港線と関西空港連絡道をアンダークロスすると、一気に視界が開ける。
車窓は田畑が目立つようになり、すれ違う列車もめっきり減ってどことなく田舎の雰囲気。我が普通車も、もう和歌山市まで抜かれることはない。路盤の方にも、所々に木製の枕木が見える。

尾崎から、小学生の団体が乗ってきた。夏休み最後のキャンプといったところだろうか、例によって賑やかなのだが、それに輪をかけてウルサイのが引率らしきク○オヤジである。遠くに座ってる子に「3時までに手続きせなあかんから、駅に着いたら走ってくれや!」などと喚いてるかと思えば、別の子には「今度の運動会はリレー出てくれるんやろな!」と半ば脅してみたり・・・。

時刻表の路線図を見ると、大阪湾に沿って走っているように思える南海本線だが、川の河口に近い部分を渡る場所でも、海側に阪神高速湾岸線の高架橋が邪魔をしていて、なかなか海を拝むことが出来ない。
しかし、鳥取ノ荘を出ると海の近くを走るようになる。九州西岸を進む台風15号の影響で、太平洋の波は高いらしいのだが、大阪湾は内海なので波は穏やかで、遠くに淡路島も見える。

箱作を出ると、しばらく海水浴場を見下ろすようにしてから、進路を山の方へ向ける。紀伊半島は、山の斜面がそのまま海に没するような地形が多く、ここがその北端に位置する場所なので、断崖を避けて山へ分け入るのだ。60制限のカーブで右に左に振り回されながら、徐々に高度を稼いで淡輪に到着。件の団体はここで下車し、車内は落ち着きを取り戻す。

続いて、みさき公園に到着。みさき公園遊園地の駐車場は満車に近い状態で、やはりマイカー利用が多いみたい。
みさき公園を出ると、更に山中に分け入っていくようになる。右に国道26号線が寄り添って、互いに峠越えの準備に余念がないようにも思える。
人影の見えない孝子駅、峠の茶屋で一息入れたような感じで、いよいよ孝子峠越えに挑む。目一杯加速しながらレンガ組みのトンネルに突っ込む。長いトンネルの中でサミットを越えたのか、トンネルを出ると惰行で軽やかに駆け下っていく。更に、短いトンネルを2つ抜けるといきなり民家が多くなり、右から加太線が寄り添ってきて紀ノ川に到着。
さていよいよ最終区間、右にカーブを切って紀ノ川の流れを渡ると、和歌山市駅のホームが見えてきた。

定刻の15時15分、終点の和歌山市駅に到着。運転士も車掌もここまで通し乗務であった。和歌山市に到着した7100系4連は、15分の休息を取った後、また難波行き普通車となって折り返していく。


難波から和歌山市まで107分の普通車の旅。景色に変化があって飽きることもなく、それほど長くは感じなかった。また、南海の車輌は冷房が強いので、長時間停車でも車内はそれほど暑くならず、駅間の長い孝子〜紀ノ川では寒く感じるほどであった。
 




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