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2002年4月29日(祝) 神戸電鉄粟生線の普通電車は、のんびりのんびり走って終点の粟生駅に到着した。「この駅に自改機は似合わんな・・・」と思いつつ、スルKANカードを投入して自動改札機を抜けると、そこはJR加古川線のホームである。 昨年10月6日に出発した兵庫県外周気まぐれ列車。冬の寒い時期を避け、春は撮影などに精を出しているうちに、半年以上もほったらかしになっていた。 中断地点としていた改札口の乗車券収集箱を撫でて、まずは駅の外へ出てみる。 JR加古川線粟生駅。四方にレールが伸びる鉄道の要衝ではあるが、駅前は至って静か・・・というか寂しい雰囲気が漂っていて、単なるローカル駅のような感じで、歩いて面白そうなところもない。 9時30分発の西脇市行き普通列車で移動を再開。キハ47の2連だが、車内はリニューアルが施されていてキレイだし、エンジンも換装されているのか軽やかな音を響かせているし、加速も鋭い。 車窓には所々に水田が見えるが、田植えのシーズンには早いので、水は張られていないし耕されもしておらず、今はレンゲ畑になっていて、薄紫一色である。幼い頃、近所のレンゲ畑で蜜を吸ったりなどして遊んだことを思い出したりしているうちに、西脇市駅に到着した。 加古川線は西脇市で運転系統が分断されており、西脇市を越えて直通運転されるのは下り(谷川行き)に1本あるだけ。という訳で、西脇市で谷川行き列車に乗り換えなければならない。 現在は西脇市を名乗っているこの駅だが、本家とも言うべき西脇駅が存在していた頃は野村という駅名だった。西脇駅とは、野村から鍛冶屋まで通じていた鍛冶屋線にあった駅で、当時は加古川〜鍛冶屋の直通運転が多く、野村〜谷川は支線のような運行形態であった。という事を思い起こしてみると、現在の西脇で分断された運行形態は、当時からそのまま受け継げられたものと言えるかもしれない。 全国の赤字ローカル線廃止が進むなか、西脇以北の輸送量が極端に少なかった鍛冶屋線も、残念ながら廃止されてしまう。ここで西脇の地名は鉄道路線図から消え去るところだったのだが、野村駅を西脇市に改称して現在に至っている訳だ。 ところで、たのきんトリオ(懐かしっ!)が全盛だった頃、北条線(現北条鉄道)に田原駅があり、加古川線に野村駅があったので、この辺りに住む女子中高生の間で「どこかに近藤駅ってないの?」と大騒ぎになったと聞いた記憶があるのだが、どこまでが真実なのかは謎である。 西脇市10時02分発の谷川行き普通列車に乗車。何の変哲もないキハ40の単行だが、8時18分発の次がこの列車であり、次は13時8分発までないという物凄いダイヤなので、非常に貴重な列車である。この列車に乗車するため、今朝は5時半起床を強いられたりもした。 さて、文字通り加古川に沿って走る加古川線であるが、ここまでくると流れは細くなり次第に山が近くなってくる。先ほどまで乗車していたキハ47とは違い、オリジナルのエンジンを積んでいるらしいキハ40は、賑々しいエンジン音と盛大な紫煙を吹き上げながら走り出すが、悲しいほどに速度は上がらない。 とはいえ、久々にボックスシートを一人占めして車窓を楽しんでいると、古き良き時代の汽車旅を思い出したりして、なかなか楽しい。 さて、この付近に東経135度線と北緯35度線の交点があり、その名も日本へそ公園なる駅がある。加古川線は昨年(2001年)5月の『大阪近郊区間大回りの旅2nd』でも乗車しており、当時も一度は日本へそ公園駅に降り立ってみたいと思ったのであるが、今日もまた降り立つことが出来ない。 #次の列車は3時間後やし・・・。 『次こそは』とか『また今度』とか思うのは簡単だけど、未だに長浜(鉄道資料館)にすら行ってないし、日本へそ公園駅に降り立つのは、一体全体いつになることやら。 のんびりした汽車旅を満喫すること約30分。キハ40は右にカーブを切りつつ谷川駅に進入していく。左の車窓に、いきなり福知山線の線路が姿を見せ、寄り添うようにして谷川駅に到着した。 福知山線も列車本数は多くはない。次の篠山口行き普通電車の発車まで1時間以上あるので、駅の外へ出てみる。谷川駅は規模は小さいが立派な駅舎で、手入れも行き届いていて綺麗で気持ちが良い。 今日は朝から曇天で、今にも泣き出しそうな空模様だが、街歩きを楽しもうと歩き出す。ところがここも粟生駅ほどではないが寂しい雰囲気で、行き交う車も少ない。道路の脇には、見る人は少ないが花壇が整備されていてパンジーが咲き誇っているし、歩道の脇には今が盛りとツツジが綺麗な花を付けている。 道の傍にちょっと興味深い案内看板を見つけた。お地蔵さんと聞くと可愛いという印象があるのだが、首切地蔵尊とはおどろおどろしい。非常に気になったのだが、片道5kmもあるのでは立ち寄ることも出来ず、街歩きを続ける。 と、今度はヘンな表示を出している電器店を発見。ここでホントにたこ焼きを売っているのか?と思いつつ店の中を覗き込んでみたが、たこ焼きどころか電器店もやっているようには見えなかった。 更に歩き進むと、またヘンな建物を発見。パソコンショップなのか?と思ったが、どうみても単なる納屋で、シャッターもシッカリ閉まっていて中を伺うことが出来ない。もしここでパソコンショップが営まれているとすれば、それはそれで凄いことなのだが・・・。 そんなことを考えていると、遠くに踏切警報機の音が聞こえる。線路の方に視線をやってみると、福知山行きの113系2連が健気に駆けていくのが見えた。 さて、歩いているうちに周囲は畑と民家ばかりになってきたので駅へ戻る。ところが列車の時間までまだ40分近くあるので、駅前のコンビニに直行。朝から何も食べていなかったのを思い出し、おにぎり弁当を購入して駅の待合室で底入れする。 谷川11時40分発の篠山口行き普通電車は113系2連。噂(?)の113系3800番台である。面構えはきしょいが、内装は上手くリニューアルされていて悪くはない。ただ、やはり2連では少し混雑気味で落ち着かない。 『出発進行!!』『ドア閉!!』『ホーム良し!!』『発車!!』・・・運転席から甲高い大きな喚呼が聞こえてくる。見ると、どうやら新人運転士の営業列車実習か試験のようだ。横には師匠(試験官?)が立って喚呼を鸚鵡返ししている。 オールMの113系は軽やかな加速を始めるが、線形が悪くて70制限の嵐なので能力を持て余し気味。しかし、線形が悪いということは、その分車窓の楽しみは大きい。新緑の中を右に左にカーブを切りながら、武庫川の細い流れに沿って駆けて行く。 谷川から20分ほどで篠山口に到着するのだが、篠山口駅の場内信号は停止を現示している。『場内、赤!!』と喚呼した運転士は、場内信号の手前で停止。私の隣に立っていたコギャル2人は、「なんでこんなとこで止まるん?」などと言っている。「赤信号は『止まれ』やろが、普通!」と心の中で愚痴ていると、不意に誘導信号が点灯した。15km/h程度でゆるゆるとホームに進入していくと、前方に221系の姿が見えた。なるほど、同じホームに2本の列車を停めるにはこれしか方法があるまい。にしても、ホームの向かい側に入れたらえぇんちゃうんか?と思っていると、そのホームに特急タンゴエクスプローラー1号が入線してきた。篠山口駅も、ホームのやりくりが大変みたいね。 篠山口から先はJR宝塚線の愛称が付けられており、大阪へ直通する丹波路快速も運転されている。これから乗車するのも、12時8分発の丹波路快速である。221系4連という編成は、この辺りでは問題ないのだが、三田辺りから先はちょっと輸送力が不足気味である。 ともあれ定刻に篠山口駅のホームを離れた丹波路快速は、ポイントを渡り終えると100km/hぐらいまで加速して快走を始める。目出度く複線電化されたJR宝塚線だが、上下線の片方は旧来の路盤が流用されている部分が多く、PC枕木ロングレールの方を走っているときは良いが、木製枕木短尺レールの方は乗り心地がよろしくない。 例によって運転席直後で前面展望を楽しんでいたのだが、三田で幕が下ろされる。ここからは、複線電化の際に長大トンネルでショートカットした区間であり、車窓を楽しむことは出来ない。その分、推定110km/h以上での快走が続いて、篠山口から40分弱で宝塚に到着出来るのである。 宝塚は阪急の息が掛かっている土地である。JRの宝塚駅は落ち着いた駅であるが、対峙する阪急の宝塚駅はド派手な駅ビルで、私の目には悪趣味に見える。 #ま、阪急らしいっちゃぁあ阪急らしいんだけど・・・。 さて、そろそろ昼時なので昼食は宝塚でと思っていたのだが、やはり阪急色の強い宝塚ということもあり、GW真っ只中で人通りも多いので、落ち着ける店を見つけることは出来ず、先の行程を進めることにする。 ここからの外周ルートは阪急宝塚線である。宝塚13時33分発の梅田行き特急は6000系のトップナンバー編成。発車後、左へカーブを切ってJR宝塚線をオーバークロスすると、宝塚市の住宅地を縫うように走り出す。カーブが多くてスピードは上がらず、70km程度での淡々とした走りだ。雲雀丘花屋敷で先行していた普通電車を追い抜くと、宝塚から10分ほどで川西能勢口に到着した。 このまま乗っていると大阪府へ出ちゃうので、川西能勢口から川西池田へ歩いて再びJR宝塚線に戻るのだが、その前に能勢電鉄の日生中央まで補足往復。 川西能勢口駅ホームに降り立つと、目の前に能勢電鉄の妙見口行き電車が停車している。階段の上り下りを伴わない乗り換えは非常に楽で、そそくさと車内に入ってみれば、思ったより乗客が多くて立ち客も居るほど。改めてホームに出て確認すると4連のワンマン運転であり、ここまでの省力化は正解かどうかちょっと疑問に思う。 川西能勢口のホームを定刻に離れた列車は、左にカーブを切って阪急宝塚線と別れると、地平に降りてのんびり走り出す。梅田からの直通特急日生エクスプレスが乗り入れているだけに、路盤やレールは立派だけど、小さな駅が点在していて駅間距離が短いのでスピードが出せないのだ。 猪名川に沿って、上り坂をどんどん登っていき、車窓には次第に山が近くなってくる。 さて、ここで白状しておかなければならない事がある。時刻表に掲載されている路線図では解らないのだが、鶯の森〜鼓滝で一瞬だけ大阪府へ出てしまうのだ。この事実に気付いた時、能勢電鉄は兵庫県外周ルートから外そうかとも思ったのだが、大阪府に出るのはホンの100mほどであり、またその区間はほとんどがトンネルなので、目を瞑って通過することにした。 平野で運転士が交替し、更に山の中へ分け入っていくような感じだが、トンネルを抜けるとまだまだ街並が広がっている。恐らく山を切り開いて住宅地にしたのだろうが、能勢電鉄は並行する国道の渋滞を見ても沿線住民の貴重な足として機能していると思える。 日生線が分岐する山下に到着。というより分岐した直後に駅がある感じで、妙見線の下りと日生線の上りがホームを共用した3面4線の配線である。車内の自動放送に従って、降りたホームの向かい側に停車していた日生中央行き電車に乗り込むと、間髪入れずにドアが閉まった。発車時刻まではまだ3分ほどあるはずなのだが?と不審に思うと、いきなり川西能勢口方面に向けて動き出すではないか! 間違って川西能勢口行きに乗ってしまった?と思う間もなく、車内の自動放送で、この電車は日生中央行きであることと、日生中央行きホームへ入れ換えする旨の説明があってやれやれ・・・。 入れ換えなどせず、そのまま折り返して出発すれば良いのに・・・とも思ったが、定刻に山下を出発してみると、いきなり左急カーブの下り勾配で、ここに渡り線を設置するのは危険なのだろう。 ともあれ、カーブを曲がり切ってトンネルに突っ込んだ電車は、妙見線とは打って変わって80km/h以上まで一気に加速する。トンネルを抜けても立派な高架線で、街並を見下ろしながらの快走が続く。 やがて小さなトンネルが見えてくると、終点の日生中央駅も近い。2面2線の長いホームの中央付近に、2連のワンマン電車がちょこんと停車した。日生エクスプレスが入ってくるので、ホームは8連対応で長い。 日生中央駅には、山間の雰囲気は全くない。山を切り開いて作った街だけに、そこら中が人工物で埋め尽くされて、どうしても落ち着くことが出来ない。 駅には立派なショッピングセンターも隣接しているが、人通りはそれほど多くないので、こちらはいくらかは落ち着いた雰囲気である。そんなショッピングセンターの中に瀟洒なラーメン屋を見付け、遅めの昼食とする。 わざとらしい人工物ばかりで落ち着けない日生中央駅付近は歩く気にならず、さっさと川西能勢口に戻ってきた。ところが、川西能勢口も宝塚と同様に阪急の息が掛かった街なので、駅ビルを見ただけでげんなりしてしまう・・・。 という訳で、さっさとJRの川西池田駅へ向かうが、歩道橋で繋がれていて阪急の雰囲気もそのまま繋がっているように感じる。駅の南側へ抜けて歩いてみようとも思ったが、日の長い季節ながら天候が良くないので既に夕暮れが迫っており、行程を進めることにする。 ホームに降りて一服点けていると、15時57分発となる京都行き普通電車が入線してきた。レア車205系なら迷うことなく乗車したのだが、前述のように夕暮れが迫っているのでここで緩急接続する快速で先を急ごうと思う。ところが、やってきた221系4連の丹波路快速は混雑が酷く、とても乗車する気にならない。そこで、尼崎まで続行となる15時55分発のJR東西線経由木津行き快速に乗車。こちらはシートがさらりと埋まるぐらいの、なかなか落ち着いた乗車率だった。 207系に乗るのも久々やなぁ・・・と思いながら、運転席直後で前面展望を楽しむ。猪名川沿いに南下するが、線形が良いので最高速度110km/hでの快走が続く。猪名川の対岸は大阪府外周気まぐれ列車Vol.4で立ち寄った大阪空港で、折りしも大阪空港を飛び立ったと思われる航空機が飛んでいくのが見える。 伊丹に停車して一息入れた快速電車は、再び110km/hで快走し、山陽新幹線の高架橋をアンダークロス。続いて阪急神戸線をアンダークロスして塚口駅を通過。引込み線に、先日まで阪和線で走っていた高運転台リニューアル103系編成が、間に非リニューアルのサハを挟んだ姿で憩っているのが見えた。 名神高速道路をアンダークロスすると70制限に従って減速し、一旦右に進路を変えつつ高架橋へと登って行く。高架へ登り切ると、左へカーブを切りながらJR神戸線の上り線をオーバークロスし、地上へ駆け下って尼崎駅に進入。 ここで暫く停車して、西明石から来る京都行き普通電車と相互接続を取る木津行き快速を降りた。 時刻は16時5分。兵庫県外周気まぐれ列車は、日帰り4回の行程で無事に終点の尼崎駅に到着したのである。 例によって、一服点けつつ自販機のお茶でささやかな打上会。 南部だけでも充分に広かった兵庫県。芦屋や三宮を走る元気な電車たちは楽しかったし、加古川線を細々と走る気動車も古き良き時代の鉄道旅行の雰囲気を楽しめて良かった。 さて、近畿各府県の外周を鉄道で辿ってきたTTT外周シリーズだが、近畿には鉄道で外周を辿れる府県は残っていない。しかし、外周シリーズの続編は既に企画&ルート策定が終わっており、早くも次週には出発する予定となっている。 |