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阪堺電気軌道に乗ろう

浜寺駅前駅で発車時刻を待つモ701形
浜寺駅前駅で発車時刻を待つモ701形

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2000年7月1日(土)


大阪府外周気まぐれ列車」を発車させたこの日。後のルートを考慮して、初日の行程を三国ヶ丘で中断したのだが、時刻はまだ14時を回ったところで、ちょっと乗り足りないと感じた私は、かねてより実行したいと思っていた阪堺電気軌道の乗車取材を敢行する事とした。

阪堺電気軌道は、大阪で唯一残っている路面電車であり、恵比須町−浜寺駅前の阪堺線と天王寺駅前−住吉公園の上町線で構成されている。

三国ヶ丘に居て、JR大和路線または近鉄奈良線で帰宅する私としては、効率良く乗車するには浜寺駅前→恵比須町→住吉公園→天王寺駅前というルートが理想的であるため、まずは浜寺駅前駅へ向かう事とした。
三国ヶ丘から浜寺駅前へ向かうには、南海高野線を岸里玉出まで利用し、南海本線に乗り換えて浜寺公園へ行くのが一般的なのだが、ちょっとした閃きがあった私は阪和線の下り快速電車に乗車した。



221系4連の日根野行き快速は、相変わらずの混雑。今日は一区間のみの乗車なので、それほど疲れる事もなく鳳で下車。鳳駅の5番ホームへ移動し、JR阪和線の枝線である通称羽衣線に乗車する。この区間には30年近くご無沙汰しているので、阪堺電気軌道乗車取材の前座として乗車してやろうという魂胆。

待つ事しばし、ワンマン化改造が施された103系3連が入線してくる。これが通称羽衣線を行ったり来たりしている編成で、車内はサラッと座席が埋まるほどの乗車率。
鳳を出ると、右に大きくカーブを切りながらスラブ軌道の高架線に登って行く。登り終わると、もう終点の東羽衣駅が見えてくる。2面1線の行き止まりホームは、まるでロープウェイの駅のような雰囲気で、楽しい。
階段を降りて改札を出ると、すぐ目の前に南海本線の踏切と羽衣駅が見える。一応は乗換駅として機能しているのだが、西向き高架線のJRと南北向き地平の南海本線という構図を見ると、なんだか仲が悪いようにも感じる。

相変わらず気温は高いのだが、いくらか陽射しが弱くなってきたので、ここから浜寺駅前まで約1kmを歩く事とする。南海本線の線路沿いを歩いていると、みさき公園行きの普通電車や難波行きの空港急行が走っていくのが見える。なんだかんだで、浜寺駅前に着く頃には汗だくになっていたのだが、まぁ良い気分転換にはなった。近くに浜寺公園というスポットがあって、プールも営業しているのだが、多くはクルマで来場しているのであろう、それらしき子供連れの姿を見かける事はなかった。



阪堺電気軌道の浜寺駅前駅は、複線が集束して1面1線となる折り返し駅で、小さいながらも駅舎があって回数券などを売っている。ちょうど恵比須町行きの電車が発車するところだったのだが、見送って浜寺駅前駅を観察する事とする。

今回の取材は、今日になって急遽敢行すると決めたので、前もって運賃なども調べてはいない。掲げられている運賃表を見てみると、堺市から大阪市内へ連続して乗車すると2区=290円、大阪市内のみ1回乗車だと1区=200円、大阪市内のみ利用でも住吉・我孫子道で乗り換える場合は2区=290円になるという、非常にシンプルな運賃設定であった。これからの乗車ルートに当て嵌めて一番安くあげる方法を考えると、浜寺駅前→恵比須町で290円、恵比須町→住吉鳥居前で200円、住吉公園→天王寺駅前で200円の、計690円となる。
と、回数券売り場の窓口横の掲示ビラで阪堺電気軌道1日乗車券TAKETAKE(テクテク)きっぷなるものの存在を知る。これは1日600円で阪堺電気軌道全線をフリーに乗車出来るというスグレモノで、私のこれからの行程でも充分にペイできる価格だ。という訳で、迷うことなくTAKETAKEきっぷを買い求めた。
阪堺沿線ぶらりマップという冊子と共に手渡された乗車券は、今まで見たことのない面白い乗車券。スクラッチカードになっていて使用する年月日を自分で削るようになっている。理屈では、スクラッチカードを削る前の段階では平成14年12月31日まで有効となり、これほど長期間に渡って有効期間を保有する乗車券は、世界中探し回っても、他には見られないのではないかと思う。

そんな事をしているうちに、次の恵比須町行き電車がやってきたので乗車する。運転席は車体の中央にあって、ワンハンドルマスコンが左右に並んだ形状。乗車口は車体中央付近の左右にあって、下車口は運転席横の左側にのみ存在する。
注:乗車口も左側のみしか開くことはない。
車内は適度に冷房が効いて心地よく、ご老人を中心に約10名の乗客を乗せて発車した電車は、南海本線をオーバークロスして専用軌道を走り出す。路面電車としては当然の事ながら、加速性能も減速性能も良くキビキビした走りを見せてくれる。但し路盤は貧弱なので、45km/h程度からヨーイングが感じられ、50km/hではヨーイングが共振して脱線するのではないか?と思うほどの揺れとなる。そんな車内からの撮影なので、写真が少々手ブレ気味なのは了承願いたい。
#アンダー補正を掛けて高速シャッターで撮影し、フォトエディターで明るさを再現するという裏ワザを使ってはいるが。

時折すれ違う電車もカラフルで楽しい。御陵前の電停を前に、道路を横切って府道197号線の上下線に挟まれて走る。当然、交通信号に従っての走行となるのだが、車道と軌道は完全に分離されている。とはいえ、電Go!名鉄編の美濃町線のように、ムリヤリ右折しようとするクルマも居てドキッとする。運転士は、かなり神経を使っているのが伺える。
こまめに設置されている電停は、歩道のような高さのホームが可愛らしいし、運転間隔も比較的詰まっていて、すれ違う電車も多い。
綾ノ町の電停を出ると、黄色矢印信号に従って再び専用軌道に入る。ちょっとキツめの登り勾配を上って大和川駅に着くと、正にそこは大和川の川っぺりで、河口が近いのでドアが開くと微かに潮の香りが漂ってきた。
右に阪堺電軌の車庫が見えると、我孫子道。ここからは天王寺駅前への電車も走っている。細井川駅を出ると、併用軌道へ出る。道幅はそれほど狭くないのだが、悲しいかな大阪名物と言われる路上駐車が多いので、軌道へはみ出して走る車も少なくない。塚西東玉出の電停は、交差点の手前という事もあってか、ホームがなくて白線で表示があるだけ。
東玉出を出ると、南海高野線をアンダークロスして専用軌道に戻る。如何にも大阪の下町といった光景を左右に眺めながら走ると、築堤を登って今池駅に着く。今は亡き南海天王寺支線をオーバークロスしていた地点である。
築堤を駆け下りると、JR大阪環状線とアンダークロスするのだが、ちょうど新今宮駅のホーム下に南霞町駅がある。入れ替わりが多くて、常に2〜3名分の空席があるという乗車する側にとっては非常に理想的な乗車率であったのだが、この南霞町でほとんどが下車し、終点の恵比須町へは私を含めて4名のみの乗車であった。

恵比須町駅は3面2線の頭端式ホームの立派な駅。私が乗車してきた電車は、数分の休憩をとって浜寺駅前へ折り返していく。駅自体はターミナルの雰囲気を醸し出す恵比須町駅ではあるが、駅前のタバコ屋で回数券を売っているだけで、阪堺電軌の窓口はなかった。(一見それらしき雰囲気の窓口は、宝くじ売り場)
もしここから取材を始めていたら、TAKETAKEきっぷの存在を知らずに居ただろう。



折り返しの電車に乗車するのも芸がないので、一本見送って次の電車に乗車する。
今度はちょっと古めかしいタイプの電車で、運転席には縦軸2ハンドル式のマスコン&ブレーキが鎮座している。外見は古めかしく感じても、車内に入ると適度に冷房が効いていて心地よい。運転席の後ろには運賃表と路線図が掲げられており、初めて乗車したとしても戸惑う事はあるまい。

先ほど来た道を逆戻りして住吉で降りる。電停のホームは狭く、すぐ横をクルマが通るので、下車する際には充分に注意しないと危険だ。
上町線の住吉公園行きホームへ移動して辺りを眺めていると、住吉公園行きの電車がやってきた。次の住吉公園が終点なので、乗車するのは私だけ。しかも我孫子道方面へはここで乗換えとなるので、ほとんどの乗客が下車し、車内に残ったのは運転士と私を含めて2名の乗客のみだった。阪堺線のレールを横切って左へカーブを切ると、頭端式3面2線ホームの住吉公園駅に到着。駅構内には急カーブにポイントが設置されていて、なかなか面白い光景。すぐ西側には南海本線の住吉大社駅が位置している。

さて、あとは上町線の住吉−天王寺駅前を残すのみなのだが、今乗ってきた電車で折り返すには、前面展望がイマイチな旧式タイプの電車なのでパス。住吉鳥居前電停まで歩いて、次の天王寺駅前行きの電車を捕まえる事とした。



我孫子道からやってきた天王寺駅前行き電車は、立ち客も居るほどの盛況だった。進行方向左側最前部に立って、前面展望を楽しむ事とする。

住吉の電停を出ると、右に分岐して専用軌道の上町線に入って行く。
南海高野線をオーバークロスして帝塚山4丁目駅を出ると、併用軌道に戻る。阪堺線に比べると道幅が狭いので、勢いレールの上を走るクルマも居る。また、路上駐車も多いので、自転車とすれ違うのも一苦労。しかし良く見ると、路上駐車がなくてもクルマが軌道上にはみ出さずに走るのが困難なほど、道幅は狭い
北畠の電停を出ると、専用軌道に戻ってやれやれ。路面区間で遅れたのか、55km/h程度の速度で突っ走る。お蔭で例のヨーイングが発生して、乗り心地は最悪。
松虫駅を出ると、再び併用軌道。天王寺駅前を通る谷町筋、17時頃の時間帯という事もあって交通量は多い。やがて、前方に複線が集束する2面1線ホームの天王寺駅前電停が見えてくる。

天王寺駅前の電停に到着した電車は、さっさと住吉公園行きとして折り返して行く。近鉄百貨店の2階入り口へ向かう歩道橋を登って行くと、もう次の電車が到着していた。



という訳で、阪堺電気軌道の全線を乗車したのですが、なかなか楽しむ事が出来ました。併用軌道区間は交通量が多くて賑やかなのですが、専用軌道区間に入ると大阪の下町らしくひっそりとした雰囲気も味わえ、その対比を楽しむだけでも、充分に乗車する価値はあると思います。
浜寺公園駅でもらった「阪堺沿線ぶらりマップ」によると、沿線には神社やお寺が多いらしいので、乗っては降り、降りては乗ってして一日楽しむのも良いかもしれません。もちろんその時には、TAKETAKEきっぷを購入するのを忘れずに。
 



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