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2005年12月30日(金) 8時過ぎにホテルをチェックアウト。厚い雲が空を覆っていて、まだ夜明け前のように薄暗い。今日はまず、予讃線で松山へ向かう。 ◆宇和島(8:32発;予讃線松山行き特急[宇和海6号])→松山 50%程度の乗車率で宇和島を発車した[宇和海6号]は、北宇和島まで助走といった感じでのんびり走った後、ぐいぐいと加速して上り勾配を登って行く。昨日乗車した予土線もかなりな勾配だったし、宇和島は想像していた以上に山に囲まれているようだ。JR四国ご自慢の2000系気動車は、この程度の上り坂は苦にならないといった感じで、左に併走する国道のクルマをどんどん追い越して行く。 車窓にみかん畑が目立ってきたところで、トンネルに入って下り勾配に転じる。トンネルを抜けると、ちょっとした高原のような風景で、左車窓遠くに瀬戸内海が見える。田園地帯の快走と小さな峠越えを何度も繰り返す[宇和海6号]だが、駅ごとに数人ずつ乗ってきてなかなか盛況である。 双岩で、宇和島行き特急[いしづち1号]と交換のため運転停車する頃から、冬の陽が顔を出してきた。次の八幡浜は、駅名の割にはずいぶん山に囲まれたところ。というかこの辺りの予讃線は、時刻表の路線図では海沿いを走っているように見えるが、実際はずいぶん内陸を走っている。 伊予大洲を出ると、高架橋へと駆け上がって右へカーブを切る。左へ別れて行く線路が見えるが、あれも予讃線である。というか、あちらが予讃線の本体である。
内子を出ると本格的な山越えとなるのだが、これはショートカット新線のご多聞に漏れずトンネルだらけ。時折トンネルから出るが、ずいぶん深い山の中である。もし万が一こんなところで事故でも起こってしまったら、救助隊が来るまで何時間も待たされるんだろうななどと、不謹慎な考えが一瞬脳裏をよぎる。 やがて山越えが終わったようで、長い下り坂に差し掛かる。転げ落ちるようにとまでは言わないが、かなり急な勾配である。森林ばかりだった車窓が開け、遠くに田園が見えてくると、左から旧線が寄り添ってきて合流して向井原を通過。 既に松山の市域といった感じの伊予市に停車すると、意外と多くの下車があった。伊予市を出ると、暫く田園地帯を走り、すっかり干上がっている重信川を渡って市坪を通過。左に松山坊ちゃんスタジアムが見えている。 すっかり松山の市街地へ入ったようで、線路際まで民家が建て込んでくるが、[宇和海6号]は速度を緩めないので迫力満点だ。まるで阪神電車みたいだなと思っているうちに、漸く速度が落ちて松山駅構内に入ったようだ。構内に入ると、それまでの快走が嘘のようにジリジリと進む。そして、定刻の9時56分に松山駅到着。 降りてみると、同じホームの前寄りに、岡山行き特急[しおかぜ14号]が停車して乗換客を待っていた。道理で構内ではジリジリとしか進まなかった筈である。2〜3番ホームを使って対面乗換にすればいいのにとも思うが、松山駅で乗降する人には跨線橋の昇り降りが必要となるし、2〜3番ホームは狭くて特急を待つ人が行列を作ると危なそうだ。 続いて、先ほどちらりと眺めてきた旧線を乗りつぶす。次の旧線経由普通列車は11時32分発までないので、新線経由の普通列車で伊予大洲まで戻り、旧線経由の伊予市行き普通列車を捉まえるとしよう。 ◆松山(10:13発;予讃線伊予大洲行き普通)→伊予大洲 同じ路線でも、特急で突っ走るのと普通列車でのんびり行くのでは印象が異なることが多いのだが、ここはトンネルだらけなので印象もへったくれもない。強いて言うなら、普通列車の方が速度が遅いから、トンネルの長さがより強調されて感じるぐらいのものだ。 という訳で、些か退屈な乗車で伊予大洲に戻ってきた。 乗り継ぎ時間を利用して駅前のうどん屋で昼食を摂っている間に、厚い雲が空を覆って今にも降り出しそうな空模様になってきた。この後の行程にはちょっとした徒歩連絡もあるので、なんとか持ってほしいのだが・・・。 とはいえ、心配していても仕方がないので、若い女性駅員にゾーン券を示しながら改札を通り、跨線橋を渡ってホームへ向かう。次に乗車する旧線経由伊予市行き普通列車は、既に3番ホームに到着している。この列車は八幡浜始発だが、ここ伊予大洲で18分も停車するのだ。昨日乗った予土線の19分停車といい、四国の普通列車は未だに国鉄然としているなと思う。但し、車両はロングシートのキハ54形でワンマン運転だが。 ◆伊予大洲(12:03発;予讃線旧線経由伊予市行き普通)→伊予市 伊予大洲を定刻に発車した列車は、のんびりのんびり走り出す。新線の高架橋が右へ別れて行くと、田園地帯の只中である。左には肱川がある筈だが、堤が高くて川面は見えない。 さて、右の車窓に内子線の廃線跡を探していたのだが、これといった物が伺えないまま五郎に到着した。いつの間にか、すぐ目の前に山が迫っている。 五郎を出ると、肱川の堤に沿って左へカーブを切り、山と川に挟まれた狭い平地を県道24号線と併走していく。と、その堤で、一人の少年が座ったままサッカーボールをリフティングしているのが視界に入った。私が見ている間ずっと、恐らく15回ぐらい落とさず続けていたので、かなり上手い。 列車は肱川に沿って下っていくが、徐々に平地が狭くなって山の端にへばりつくようになる。お陰で川面を見下ろせるので景色がよい。昔はこの車窓が予讃線のメインルートだったのだ思う。 河口が近くなると街が広がってくる。列車は肱川と別れて街中へと分け入り、伊予長浜に到着。海辺の街なのに、駅のすぐ横に山が立ちはだかっているのは異様な光景だ。 さて、ここで下り列車との交換のため9分停車するのだが、やってきた下り列車に185系気動車が充当されているのを見て羨望。185系気動車は特急形車輌だが、四国では一部近郊用に改造されて使用されているのだ。 伊予長浜から乗ってくる人が多く、車内は少し賑やかになった。とはいえ、単行気動車でまだ空席があるぐらいなので絶対数としてはしれている。 さて、列車は国道378号線と瀬戸内海沿いを併走して行くが、地形はかなり急峻で、崖っぷちにへばり付くような所もある。大きな台風が来たら簡単に土砂災害の餌食になりそうに見えるが、事実この区間は土砂災害を受けることが多く、内子のショートカット新線の構想には、そういった事も背景にあったらしい。そんな路線なので、景色は素晴らしいが列車の歩みは遅く、国道を走るクルマがどんどん追い越して行く。 やがて、夕日が綺麗な駅として有名な下灘駅に停車。すぐ目の前が瀬戸内海で、最高のロケーションである。今日は曇り空だし、元より相変わらず余裕のない行程で徘徊しているので、夕日を眺めて楽しむことは出来ないが、乗りつぶしが終わって余裕が出来たら是非再訪したいと思う。 時折現れるトンネルも短めで、瀬戸内の眺めを堪能していると、高野川を出た辺りから右にカーブを切って海と別れ、切通しの中を峠越えに向かう。やがてサミットを越え、ディーゼルエンジンがカランカランという軽快なアイドリング音を響かせながら下り勾配を下って行くと、不意に右から新線の高架橋が寄り添ってきた。 こちらも高架橋へと駆け上がり、新線に合流して向井原に到着。これで旧線区間も乗り終えたのだが、この列車は伊予市まで行ってくれるのでそのまま乗車を続けて伊予市で下車。 伊予市駅は、文字通り伊予市の代表駅で全ての特急が停車する駅なのだが、小ぢんまりとしていて民鉄駅のような感じだった。 さて、ここからは伊予鉄道の乗りつぶしに移る。伊予鉄道は『電車でGo!路上編』でお馴染みの鉄道会社だが、軌道線でない鉄道線も有していて、軌道線=市内電車,鉄道線=近郊電車と呼ばれている。 まずは近郊電車の郡中線を乗りつぶすべく、郡中線の終点である郡中港駅へ向かう。といっても、郡中港駅はJR伊予市駅の斜向かいに位置しており、間を通る国道378号線を渡ればすぐそこである。 郡中港駅は郡中線の終点ながら、伊予市駅より更に小ぢんまりとしていて、こうして比べるとやっぱり伊予市駅はJRだなと思う。ともあれ、自動券売機で高浜線の高浜までの乗車券を購入し、無人の改札を抜ける・・・と、改札口には自改機どころかラッチすらないのにICカード乗車券の処理機が立っていたから驚いた。そういえば昨夕宇和島のホテルで見たTVニュースで、伊予鉄道のICカード式乗車券「い〜カード」が発行枚数5万枚を突破したとか言ってたっけ。 改札を抜けると、片面1線きりのホームに出る。いつの間にか冬の陽が再び顔を出しているが、風が冷たくて寒い。 待つこと暫し、折り返し松山市行きとなる電車が到着したので乗り込む。どうやら近年導入された新車のようで、ドアの鴨居に電光表示機があって全国ニュースが流れていた。 ◆郡中港(13:44発;伊予鉄道郡中線松山市行き)→松山市 JRよりも心許ない、片手で数えられるぐらいの乗客を乗せて郡中港を発車。やはり民鉄なのでJRより沿線に民家が多く、ちょこまかと停車して乗客を拾って行く。 松前を出ると珍しく田園地帯を快走するが、それも長くは続かず再び住宅街に突っ込む。JR予讃線をアンダークロスすると、車窓には民家に変わって商店やビルなどが増えてきた。 いつの間にか立つ人も多い状態になって、伊予鉄百貨店の1階に位置する伊予市駅に到着して、郡中線の乗りつぶしが完了。 松山市駅は、鉄道線3本と軌道線が接続する伊予鉄最大の要衝である。 続いて、これも近郊電車の高浜線を乗りつぶすのだが、松山市駅は2面3線という配線で、郡中線から高浜線へは対面乗換となっているので有難い。降りたホームで待つこと暫し、高浜行き電車がやって来たので乗車。 ◆松山市(14:15発;伊予鉄道高浜線高浜行き普通)→高浜 これまた立つ人も多い乗車率で松山市を発車した電車は、ビルの谷間を健気に走り出す。右に大きくカーブを切ると、軌道線との接続駅である大手町に停車。 大手町を出ると、その軌道線と直角に平面クロスする。昔の阪急西宮北口駅を思い出すが、ジョイント音はバシャバシャといった感じで重厚感はなかった。 左から寄り添ってきた軌道線を再び平面クロスすると、古町に停車。電車でGo!路上編ではお馴染みの光景だが、ゲーム上では見えるだけで走れなかった路線に乗っているというのは、妙に嬉しかったりする。ともあれ、古町を出ると軌道線は右へ別れて行き、我が高浜線は左にカーブを切りながら高架橋へと駆け上がる。国道196号線をオーバークロスすると、地平に降りて衣山に停車。左に予讃線が見えるが、あちらは優等列車が走っているものの単線なので、こちらの方が立派に見える。次の西衣山を出ると予讃線をアンダークロスし、車窓には徐々に郊外の雰囲気が漂ってくる。 車内の方も、駅ごとに数人ずつ降りていって、徐々に空席も増えてきた。湊山を出ると住宅地を抜け、左の車窓に瀬戸内海が広がる。梅津寺は駅前が砂浜だ。梅津寺を出ると梅津寺パークという小さな遊園地を見下ろし、ちょっとした峠を切通しで抜けて、終点の高浜に到着した。 高浜駅は片面ホーム1線の終着駅だが、赤錆びた側線が何本か見えた。改札を出ると天井が高くて趣のある駅舎で、右には松山観光港行きバス乗り場に繋がる出口がある。しかし私の視線は、正面の出口から見える風景に釘付けとなっていた。駅舎から延びる、緩やかなスロープとなっている通路に、古めかしい何でも屋が面している。初めて来た場所なのに、ずいぶん昔に見た記憶があるような光景で、時間が30年ほど遡ったような妙な感覚が沸く。駅舎自体も良い感じに草臥れており、自宅最寄り駅がこんな駅ならいいのになと思うぐらいである。 駅を出て県道19号線を渡ると、すぐ目の前に中島汽船のフェリー乗り場がある。フェリーが着岸していない時間帯だったので、艀の横まで歩いて行って、瀬戸内の眺めを暫し楽しんだ。 さて、伊予鉄の鉄道線で未踏破なのは横河原線のみとなった。伊予鉄横河原線は高浜線と直通運転となっているので、横河原までの乗車券を購入して改札を抜ける。硬券乗車券が似つかわしく思う高浜駅舎だが、残念ながら自動券売機である。 ◆高浜(14:58発;伊予鉄道高浜線〜横河原線直通横河原行き普通)→横河原 松山市までは、先ほど見てきた光景の逆回し。空席が多かった車内だが、立つ人も多い状態となって松山市に到着すると、半数以上の人が降りて同じぐらいの人数が乗ってきた。 3分ほど停車して松山市を発車。いよいよ未踏破区間の横河原線だと思ったら、いきなり単線になる。全線複線の高浜線と直通運転を行っているが、基本的に15分ヘッドの運転なので、単線でも捌けないことはないのだろう。 民家の裏手の狭い路地といった感じのところをのんびり走って行くと、急に視界が広がって石手川を渡り切ったところで石手川公園に停車。川に架かる鉄橋のトラスもホームの一部となっている面白い駅だ。 石手川公園を出ると再び民家の裏庭を掠めて行き、各駅で数名ずつの乗降がある。どちらかといえば降りる方が多いので、車内は徐々に閑散としてきた。 牛渕団地前で纏まった下車があると、車窓には冬休み中の水田が目立つようになる。そして、愛大医学部南口を出ると乗客は片手で数えられる程度となり、ちょっとキツめの上り勾配をえっちらおっちら登り切って、終点の横河原に到着した。 横河原駅は片面ホーム1線のみという配線だが、何となく駅構内は広い。古びた木造駅舎が、夕日を浴びていい味を出していた。 さて、今日の乗りつぶしはこれにて終了。市内電車はまた明日乗る事となっている。高浜行き電車で松山市まで戻り、予約してある宿にチェックインし、せっかく松山に泊まるのだから道後温泉で疲れを癒そうと外出。 まずは本館まで行ってみるが、大混雑していてのんびり出来そうにない。そこで、次善策としてした椿の湯へ入り、1時間ほどまったり浸かった。 本日の踏破線区:予讃線の一部区間(松山〜北宇和島・向井原〜内子),内子線,伊予鉄道郡中線/高浜線/横河原線 |