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2004年8月9日(月) 能登半島は長い。今日は、1日掛かりで七尾線とのと鉄道を乗りつぶして金沢に戻ってくる予定だ。宿は連泊で予約してあるので、余計な荷物を取り出していつもより軽くなったバッグを肩に駅へと向かう。 さて、元々能登半島には国鉄七尾線(津幡〜輪島間)と能登線(穴水〜蛸島間)があったのだが、まずは能登線を3セク転換してのと鉄道が開業。更に後年、七尾線の和倉温泉〜輪島間についてもJR西日本から経営を引き継いだ(2種事業)のだが、経営難のため七尾線の穴水〜輪島間は既に廃止されている。時刻表の索引地図を見ると、鉄道がない輪島にみどりの窓口を示す緑色の丸印があるが、バスターミナルとなった旧輪島駅で今でもマルスが稼動しているためである。さて、穴水〜輪島間を廃止したのと鉄道だが、それでも経営状態は苦しいらしく、来春には穴水〜蛸島間の能登線全線を廃止すると発表されている。 青春18きっぷに2日目の日付印をもらって改札を抜ける。高架になった金沢駅は、ホーム全体が屋根に覆われていて昼でも薄暗い。真夏の陽射しからは逃れられるが、風通しはあまり良くないので熱気が篭っている。 七尾線七尾行きの普通電車は、既にホームに据え付けられて発車準備をしていた。予想以上に長い編成で、6両も繋いでいる。恐らく、通勤輸送の折り返しということなのだろう。ドアは半自動扱いになっていたので、開ボタンを押して乗り込むと、冷房が強めに効いていて心地よい。 ◆金沢(8:44発;北陸線〜七尾線七尾行き普通)→七尾 金沢を定刻に発車した電車は、高架から地平へと降りて行くのだが、その途中で単線電化の線路をオーバークロスする。これは北陸鉄道浅野川線で、明日の朝に乗りつぶす予定となっている。右の車窓には高架橋が併走している。もしかしてとは思うが、北陸新幹線の高架橋なのかもしれない。車掌が車内アナウンスで、津幡から七尾線に入ることと、七尾から先(正確には和倉温泉から先)ののと鉄道の乗車券を車内で発売する旨を案内する。森本を出たところで車掌がやってきたので、青春18きっぷを示して蛸島までの乗車券を所望する。往復か?と聞かれたので、帰りの乗車券を買う手間が省けると思って購入したが、その分JR西日本に入る取り扱い手数料が増えたことだろう。ともあれ、和倉温泉⇔蛸島の車内補充券を発行してもらった。 津幡を出ると七尾線に足を踏み入れる。と、車内の照明が消えて冷房も止まる。30km/h程度で暫く惰行し、照明と冷房が復帰したら加速も始まった。うっかり失念していたが、七尾線は直流電化でデッドセクションがあったのだ。 電車は、山と水田を眺めながら淡々と走って行く。宇ノ気辺りから、左の車窓に有料道路の能登道路が併走する。自動車専用道路なので80km/hぐらいは出ているのだろうが、こちらも負けずに同じぐらいの速度で走っている。 やがて、車窓に民家や工場が増えてきて羽咋に到着。羽咋を出ると右にカーブを切り、右に水田、左に山を見ながらの走行となる。小さな駅にこまめに停まっていくが乗降は非常に少なく、半自動扱いとなっているドアはほとんど開くことがない。最初のうちは良かったのだが、だんだん寒くなってきた。進行方向右側のボックスに移動し、遮光カーテンを上げて直射日光に当たって暖を取る。 さて、羽咋からは目立たないが山越えで、日本海側から富山湾側に移る。能登二宮辺りに低いサミットがあったようだが、それほど目立った勾配もなく、徐々に街が拓けてきて七尾に到着した。 七尾線は次の和倉温泉が終点だが、七尾〜和倉温泉間にはJR西日本の列車は特急しか走っておらず、普通列車はのと鉄道から乗り入れてくるものだけである。七尾では20分ほどの乗り継ぎ時間があったので駅前へ出てみたが、頭上から強い陽射しが照り付けて暑いだけなので、早々と駅へ戻って改札を待つ。 10時24分頃に、折り返し蛸島行きとなる列車が到着。パラパラと10名ぐらいがホームに降り立ち、代わって穴水方面行きの乗客が乗り込む。 ◆七尾(10:36発;七尾線〜のと鉄道蛸島行き普通)→蛸島 ロングシート車単行の蛸島行きは、定刻に七尾駅ホームを発車した。車内は全てのシートが埋まって、立つ人も多いぐらいの乗車率である。すぐに市街を離れて緑の中を走り、左にチラッと赤浦潟を眺めて和倉温泉に停車。これでJR七尾線は踏破完了である。同時に、JR西日本の全線踏破達成となった。が、感慨に耽る間もなく、のと鉄道七尾線に乗り入れて行く。 少しは降りるだろうと思っていた和倉温泉だが、意外と乗降は少なくて相変わらず立ち客も多い乗車率である。時折、右の車窓に七尾西湾を見下ろしながら、小駅に停車していく。のと鉄道には、国鉄時代の面影が色濃く残っている駅が多く、能登中島駅ホームにはホーロー製の駅名標が置かれていた。駅ごとに数名ずつ下車していくが、結局全ての座席が埋まったままの状態で穴水に到着した。 さて、穴水から先は来春の廃止が決定している区間である。そんな訳で、穴水でドッと降りて閑散となるのだろうと思っていたが意外や意外。確かにドッと降りたが、それ以上に乗ってきて七尾を出た時より乗車率が高くなった。 ほぼ満員の状態で穴水を発車すると、左に廃止された輪島への路盤が別れて行くのが見える。来年の今頃には、この線路も同様になってしまうのかと思うと、やり切れない気持ちになる。 穴水を出てからトンネルが多くなった。海沿いの平地も狭いようで、集落も小さい。各駅で数人ずつ降りて行き、鵜川辺りで空席が出来た。なるほど、のと鉄道はこの辺りまでしか使ってもらえないのか。と思っていたら、宇出津でまたたくさん乗ってきて、みたび満員状態となる。乗客は学生とご老人がそのほとんどを占めるが、観光客も全く居ない訳ではない。これがホントにあと8ヶ月で廃止してしまう路線なのかと目を疑うばかりである。 宇出津を出ると更に地形が急峻になり、小さなトンネルを次々に抜けて行く。トンネルの合間では、海が見えたり、深い山の中に囲まれた盆地の小さな駅に停まったりする。 やがて、恋路というロマンチックな名前の駅に停車。のと鉄道能登線で最も有名な駅かもしれないが、水田を見下ろす築堤の上に位置する片面ホームの無人駅だった。遠くに恋路海岸が見える。 列車は淡々とした走行を続け、漸く車窓に街並みが広がってきて珠洲に到着。珠洲には検車所があって、当駅止まりや当駅始発の列車も多く設定されている。珠洲を出ると、車窓には高原のような風景が展開する。海に近いのに奇妙な感じだ。珠洲から6分、穴水からは1時間45分、七尾からでは2時間36分も掛かって、漸く終点の蛸島に到着した。 蛸島駅は片面ホームの無人駅で、目の前には畑が広がっているばかりで何もない。と思ったら、ホームの真ん中辺りに下り階段があって駅舎に繋がっており、駅舎内では売店が営業中だったから驚いた。 さて、今日の乗りつぶし予定路線はこれにて終了。まだ13時を回ったばかりだが、今から金沢に戻ると、仮に和倉温泉から特急を利用しても17時56分になってしまい、次の路線を乗りつぶし終わるまでに日が暮れてしまうのだ。 何れにせよ金沢まで戻らなければならないが、8分停留(13時20分発)の折り返し列車は8月31日まで毎日運転の臨時列車珠洲行きで、珠洲では1時間以上の待ち時間がある。それなら珠洲まで3.6kmを歩いてもいいかな?とも考えていたのだが、蛸島駅前に北鉄バスの停留所を発見し、時刻表を見てみると13時47分発という便がある。バスでも珠洲まで10分も掛からないだろうから、このバスでも珠洲から先の列車には充分間に合うし、忙しない8分停留の折り返しに乗る事もない。発車していく珠洲行きの列車を見送り、駅車内の売店で冷たい飲み物を買って喉を潤しつつ休憩。 13時47分発の北鉄バスは、珠洲特急という系統で兼六園下まで行くらしい。それはともかく、小型ながら観光バスタイプの前乗り前降り(というか後方にはドアがない)で、私の他には家族連れが1組乗っていただけ。珠洲には7分ほどで着いたが、バス停は駅から少し離れたところにあった。 人通りの少ない駅前通りを歩いて珠洲駅へ向かう。使われなくなった腕木式信号機が立っていたりするが、ホントに人通りが少なくて気味悪いぐらい静かだ。珠洲駅は運転関係しかやっていないらしく改札口が開け放たれていたので、さっさとホームへ行ってみると既に次の穴水行き列車が停まっている。というか、先ほど蛸島から来た列車がそのまま化けるらしい。ドアは半自動状態になっていたので、車内に入って冷房に当たって発車を待つことにする。確か、駅舎には冷房完備の待合室のような気の利いたものはなかった。 ◆珠洲(14:29発;のと鉄道穴水行き)→穴水 帰りはさすがにウトウトして過ごすが、学生やご老人で常に立つ人がいるぐらいの乗車率。耳が遠いのか大声で喋るご老人が多いので、頻繁に目を覚ましてしまう。 それにしても、意外なまでに乗車率が高い。能登線には並行して国道249号線が走っており、鉄道廃止後はバス転換ということになるのだろうが、とてもバス1台で運べる人数ではない。続行運転にするか、あるいは運転本数を増やさければ運びきれないだろう。儲からないからという理由だけで、これだけの利用者がある鉄道路線を廃止にするのは、公共輸送を担う鉄道事業者としてはあまりにも身勝手すぎるように思うのだが。 ◆穴水(16:10発;のと鉄道〜七尾線七尾行き)→七尾 穴水からはクロスシート車2連の列車。夕日を浴びて健気に駆けて行く。 ◆七尾(17:04発;七尾線〜北陸線美川行き普通)→金沢 七尾からは415系3連の普通電車。やはり冷房がよく効いていて、ドアが半自動扱いになっているので徐々に寒くなってくる。右側のボックスに陣取り、西日に当たって暖を取るのであった。 金沢に戻ってきたのは夕暮れ近い18時23分。単純往復9時間39分の道程はさすがに疲れた・・・。 本日の踏破線区:七尾線/のと鉄道 |