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今年も、夏期休暇は長期の乗りつぶし遠征を敢行する。今回のターゲットは未踏破の民鉄路線が点在する北陸地方で、来春の廃止が決定しているのと鉄道能登線(穴水〜蛸島)も含まれている。また、行程後半には東海地方にも足を延ばす予定となっている。 2004年8月8日(日) 例によって早朝からいろいろ乗り継いで、北陸線の武生に到着した。今回遠征では青春18きっぷを利用しているのだが、普通電車も意外と速くてまだ10時台である。 さて、今回遠征で最初に踏破を目指すのは福井鉄道。武生駅を出、狭い駅前広場から右へ伸びる道を暫く歩くと、福井鉄道の武生新駅が見えてくる。福井鉄道は、ここ武生新から田原町までの本線と、途中の市役所前から福井駅前までの支線とで構成されていて、武生新からは田原町行きと福井駅前行きの2つの運転系統が発着している。 自動券売機で福井駅前までの乗車券を購入し、冷房の効いた待合室で涼む。今日も朝から真夏の陽射しが照り付けており、武生駅から5分ほど歩いただけなのにもう汗びっしょりだった。 10時55分頃、11時00分発の福井駅前行き電車の改札が始まる。列車別改札は普段見掛けないだけに、酷くローカルな印象を受けてしまう。 ◆武生新(11:00発;福井鉄道福井駅前行き普通)→福井駅前 ホームで発車準備をしていたのは2両編成の古めかしい電車で、ドアの下部に折り畳まれたステップが見える。福井鉄道は一部区間が併用軌道となっているので、ホームの低い電停ではこのステップが出てくるのだ。 右の築堤上に北陸線の複線を見上げながら定刻に発車した電車は、左に右にとカーブを切って民家の間をすり抜けるように走り出す。家久辺りから車窓に水田が目立ち始めるが、日野川を渡るとまた住宅地に入っていく。車窓から見える民家は多いが、電車の乗車率は芳しくない。しかし、交換可能駅の前後にあるポイントはスノーシェードに覆われていて、設備は立派である。 福井新を出ると併用軌道となる。道幅は広く、軌道内に入り込むクルマも居ないので、比較的スムースに走れる。が、鉄道線用の重い車輌だからか、運転士は交通信号をかなり先読みしていて、素人目には充分行けそうに見える青信号でも減速して黄色信号で停止線に止めている。 足羽川を専用軌道の橋梁で渡ると、駅前通に当たる県道5号線との交差点で長い信号待ちとなる。2分ほど待たされ、黄色矢印信号に従って交差点を渡ると、福井駅前からの軌道と合流して市役所前電停に到着。ここで進行方向が変わる為、運転士はブレーキハンドルを始め運転道具一式を持って反対側の運転台に移動する。 先ほど渡った交差点を左折して、駅前通に入るのかと思ったら、ちょっと細い脇道に入って電停に停車。ここが終点の福井駅前電停だった。 ドアが開くと同時にステップが下りる。が、かなり段差があって乗降には一苦労である。 ここで福井鉄道の乗りつぶしは一旦中断して、えちぜん鉄道の踏破に移行する。えちぜん鉄道は京福電鉄から転換された鉄道事業者で、その経緯については色々あったのだがここでの記述は敢えて控えておく。 JR福井駅前から薄暗い地下通路を歩いて北陸線をくぐり、えちぜん鉄道の真新しい福井駅へ向かう。窓口で、土休日限定の1日乗車券を購入。えちぜん鉄道の全線が1日乗り放題となるのだが、福井〜勝山の片道運賃+50円という格安の設定となっている。 えちぜん鉄道も2つの路線で構成されている。まずは、勝山までの勝山永平寺線を乗りつぶすとしよう。 ◆福井(12:09発;えちぜん鉄道勝山永平寺線勝山行き)→勝山 例によって発車時刻の10分ほど前に始まった改札を通って、ホームへ向かう。えちぜん鉄道福井駅は島式ホーム1面2線という配線で、既にホームに入っていた電車に乗り込むと異様に暑い。意表を突かれた非冷房車で、頭上では扇風機がブンブン唸っている。仕方なく手近な窓を上げ、扇子を取り出して胸元に生暖かい風を送っていると、涼しげなアナウンスが車内に響き渡る。うっかり失念していたが、えちぜん鉄道では女性アテンダントが乗務しているのだった。 定刻に発車した電車は、左に北陸線の複線を見ながら走り出す。すぐ横に真新しい高架橋が姿を現しており、JRの連続立体交差化事業は順調に工事が進められているようだ。非冷房車でも、走り出せば窓から風が入ってきていくらか涼しくなる・・・と思う間もなく、最初の停車駅新福井に停車。この駅間、あまりにも短すぎる。 検車所があるらしい福井口に停車したところで、運転士が交代。どうやら運転関係は福井口駅がベースとなっているようだ。福井口を出ると、右にカーブを切って三国芦原線と分かれる。あちらは後ほど乗りつぶす予定だ。 左右に民家を眺めながら、電車は淡々と走って行く。アテンダントさんは、案内放送や乗車券販売と無人駅での乗車券回収など、暑い車内を忙しく歩き回っている。それでも、乗客の前は営業スマイルで会釈して通る。一見華やかだけど、なかなか大変な仕事だと思う。 松岡を出ると、山の縁にへばり付いて勾配を登り始め、丘をひとつ越えたような感じで永平寺口に到着。京福電鉄時代は東古市と名乗り、永平寺までの永平寺線が分岐していたのだが、えちぜん鉄道に転換される際に永平寺線は廃止され、同時に永平寺口と改称されている。永平寺へは駅前からバスが出ているらしく、アレンダントさんが車内放送でバスの発車時刻を案内していた。 永平寺口では降りる人が多く、車内は閑散としてしまう。車窓には民家が少なくなり、田畑や雑木林が多くなってきた。小舟渡あたりから、左の車窓に九頭竜川が見えてくるが、思ったより水量は少ない。 福井から50分ほど掛かって、終点の勝山に到着。背後に山が迫っていて、それほど拓けた場所ではない。2分停留で慌しく折り返す電車には乗車せず、1本落として駅近辺を散策してみよう。 瓦屋根の駅舎はなかなか立派で、昔は小荷物も扱っていたようだが、今ではそのスペースを転用してレンタサイクルを取り扱っている。駅前にはバス乗り場とタクシー乗り場があり、ちょっと離れたところには広い駐輪場が整備されている。 さて、駅前に出て歩き出したはいいが、真夏の陽射しが真上から照り付けていて非常に暑い。取り敢えず、九頭竜川に架かる勝山橋の上まで行ってみると、強い川風が吹き抜けていて涼しい。汗が引いたところで駅へ戻る。まだ時間はあるが、陽射しは強いし気温は高いしで日射病になりそうだ。事実、駅へ戻ってきた時には再び汗が噴き出していた。自販機でお茶を買って水分補給。駅舎内は適度に冷房が効いていて心地よい。 ◆勝山(13:34発;えちぜん鉄道勝山永平寺線福井行き)→福井口 福井からの電車は、2分ほど遅れてやってきた。所定2分停留で折り返すダイヤなので、慌しく発車。今度の電車は、単行ながら冷房が効いている。 帰りは、三国芦原線が分岐する福井口で下車。構内踏切を渡って、三国芦原線に乗り換える。 ◆福井口(14:32発;えちぜん鉄道三国芦原線三国港行き)→三国港 ロングシート車2連でやってきた三国港行きの電車は、さらりと座席が埋まる程度の乗車率で、永平寺線よりよく乗っている。車内には液晶テレビ(よっしゃ!ウチのんやぁ!;謎爆)が設置されていて、観光VTRが流れている。 福井口を出ると築堤に駆け上がり、左に大きくカーブを切って北陸線をオーバークロスし、立ち並ぶ民家の間を走って行く。沿線風景も勝山永平寺線より拓けており、乗車率が高いのも頷ける。 新田塚を出て九頭竜川を渡ると、車窓に水田が目立つようになってきた。強い陽射しを浴びて青々と輝く稲は美しく、冷害に見舞われた昨年とは違って今年は豊作が期待出来そうだ。 急に車窓に建物が増えてきて、あわら湯のまち駅に停車。ここで半数以上の乗客が降りる。駅前には、有名な芦原温泉の温泉旅館が軒を並べている。電車が発車する時、改札に立っていた駅員がこちらに深々と頭を下げていたのが印象に残った。 三国神社、三国と停車し、更に車内は閑散となって終点の三国港に到着。これで、えちぜん鉄道は全線踏破達成である。三国港駅は片面ホームの無人駅だが、長らく使われていないと思しき側線が何本かあった。昔は貨物輸送もやっていたのかもしれない。 さて、三国港でも11分停留の折り返し福井行きには乗車せず、1本落として近辺を散策してみる。相変わらず暑いが、15時を回って陽射しは幾らか弱くなっている。まずは港へ出てみる。何人か釣り人が居て、何か解らぬが小さな魚が釣れていた。海風は心地よいがジッとしているとさすがに暑い。県道の先になにやら大きな建物が見える。喫茶店で冷たいものでも飲みたいなと思って行ってみると、[ゆあぽーと]という温泉施設だった。[ゆあぽーと]の裏手は海水浴場になっていて、家族連れなどで賑わっている。昨夏立ち寄った阿字ヶ浦海水浴場とは雲泥の差である。 喫茶店などという気の利いたものは発見できず、結局は駅へ戻って自販機でお茶を買って喉を潤す。無人の駅舎には冷房がないので、駅前の木陰に座り込んで胸元に扇子で風を入れ、暑さを紛らわせる。 ◆三国港(15:56発;えちぜん鉄道三国芦原線福井行き)→田原町 15時45分に、福井からの電車が到着した。折り返しの準備が出来たところで車内が開放されたので、早速乗り込んで涼を貪る。 海水浴帰りと思しき家族連れなど、20名ぐらいの乗客を乗せて定刻に発車。帰りは途中の田原町で下車する。先ほど乗り残していた福井鉄道とは、ここで連絡しているのだ。 ホームに降りて改札を抜けると、すぐ目の前に福井鉄道のホームが位置している。会社は違えど、非常に乗り換えやすくなっており、乗り継ぎ時間は3分しかなかったが、余裕で間に合う。 ◆田原町(16:37発;福井鉄道武生新行き普通)→福井駅前 福井鉄道の田原町駅は無人駅らしいので、既にホームに停まっていた電車に乗り込んで発車を待つ。と、意外なことに車掌がやってきたので、福井駅前までの乗車券を所望すると、慣れた手つきで鋏を鳴らせて発券した。 4〜5人程度しか乗っていない閑散とした状態で発車した電車は、右に大きくカーブを切って、恐る恐るといった感じで併用軌道に出る。夕刻だからか比較的交通量の多い県道30号線をのんびり走り、あっさりと市役所前電停に到着して福井鉄道の全線踏破となる。同時に、福井県の鉄道全線踏破達成となった。この電車は武生新行きだが、市役所前から福井駅前を往復してから武生新へ向かうのでそのまま乗車し、再び福井駅前電停に降り立った。 昼前は素通りしたJR福井駅だが、高架工事の影響で跨線橋へ向かう仮通路が右へ左へと曲がっていてややこしい。ホームへ出ると、まだ乗る予定の電車は入ってきていない。ふと思い立って、つい先日水害に見舞われて運休している越美北線用の2番ホームへ行ってみると、時刻表に復旧の見込みが立っていない旨の貼り紙があった。 ◆福井(17:03発;北陸線金沢行き普通)→金沢 食パンを覚悟していた北陸線の普通電車だが、475系の3連がやってきた。車内が閑散としているのを良い事に、1ボックスを占領して急行形電車の走りを満喫する。窓下のテーブルには、未だにセンヌキが残っていた。 定刻より5分ほど遅れ、18時30分頃に夕暮れ近い金沢駅に到着。いつの間にやら高架駅となっているが、東口ではなにやら物々しい工事が行われている。ひょっとして北陸新幹線の受け入れ?とも思ったが、それにしては気が早過ぎるだろう。ともあれ、そんな工事現場を横目に予約してあるホテル目指して歩いた。今宵は金沢泊まりである。 本日の踏破線区:福井鉄道/えちぜん鉄道 |