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青函トンネル内を疾走してきた[白鳥3号]が減速を始めると、2号車のデッキに車掌がやってきた。そして、トンネルの暗闇の中で停車すると、車掌は非常用のドアコックに手を伸ばし、力任せという感じでドアを開けた。ドアの向こうには、北海道ジェイ・アール・エージェンシーの案内社員さんが待っていて、我々見学者がぞろぞろと降り立つと、カウンターで人数を数える。恐らく、マルスが吐き出した見学整理券の売上枚数と照らし合わせているのだろう。どうやら枚数と人数が一致したようで、携えていた見学整理券を見せることもなく横穴に入り、作業坑だった見学通路へと案内され、見学者を見分けるためのバッジが手渡された。 ![]() ところで、竜飛海底駅ホームの幅は1mもない。非常用のホームなのでこれで充分なのだが、見学者用の降り口は横穴の入り口に合わせねばならず、最高140km/hで走る長大トンネルの暗闇の中で停止位置を合わすのは大変だろうと思う。暫く停車していた[白鳥3号]は、我々が横穴から出るのを待って発車したようだ。 ![]() 見学通路に入ったところで、見学に不要な手荷物を預かってもらえたのだが、デイバックひとつの私は預けることもない。その荷物置き場の檻に、竜飛海底駅の時刻表が掲示されていたが、あまり意味のあるものとは思えない。ここに来る事が出来るのは、JRの関係者を除けば、[白鳥3号]で来て[白鳥11号]で帰る見学者だけなのだから。 ![]() 案内戴く北海道ジェイ・アール・エージェンシー社員さんの自己紹介を聞き、いよいよ見学通路を歩き出す。今日の見学者は総勢17名で、意外と子供連れはなし。老夫婦やOLらしき女友達同士の姿が多く、私のような一人旅も少なくない。 見学ルートとしては、まずケーブルカーで地上へ上がるらしいのだが、13時20分発のケーブルカーに乗り遅れると予定が狂ってしまうとのこと。そんな訳で、少し早足で歩く案内社員さんの後を、銘々撮影したりビデオを回しながらついていく。が、壁面に竜飛海底駅の駅名標が現れると、ほぼ全員が立ち止まって撮影。そして、また早足になって案内社員さんを追い掛ける。 ![]() さて、トンネル内部の温度は一年を通してほぼ一定らしいのだが、湿度が高くて多少蒸し暑く感じる。端に刻まれた溝には、どこからか湧き出した地下水がチョロチョロと流れている。見学通路からは、いくつか分かれて行く小さなトンネルが見えるが、排水装置や換気装置などがあるそうで、立ち入り禁止となっていた。 ![]() やがて、青函トンネルの説明パネルなどが展示されている場所に出た。ここが竜飛側の海岸線直下に当る定点で、海面下140mに位置するらしい。と言われても、なかなか実感が沸かないのではあるが。 ![]() 定点近くに非常時用の避難所が設置されている。長いベンチがあって、非常用のトイレもある。そして、公衆電話や清涼飲料の自販機まであったから驚いた。 ![]() 避難所を過ぎると、行く手を鉄製のドアがついた壁に阻まれる。ドアを抜けると機器室のようなところで、前方には更に壁がある。全員が通り終わって一つ目のドアが閉められるのを待って、二つ目のドアが開けられた。恐らく、ここで気圧の調整が行われているのだろう。二つ目のドアを抜けて暫く歩くと、前方にケーブルカーの駅が見えてくる。ここまでは地上側からも来れるようで、他の見学者がぞろぞろと歩いている。 ◆体験坑道(13:20発;青函トンネル竜飛斜坑ケーブルカー)→青函トンネル記念館 さて、いよいよ青函トンネル記念館ケーブルカーの乗りつぶしだ。体験坑道駅は非常にあっさりした設備で、見学通路から鉄製の階段を上るとすぐホームである。 ![]() 促されるままに乗り込み、地上に向けてトンネルの闇の中を登り出す。が、勾配はそれほどキツくないので、軌道の横に併設されている階段を歩けないこともなさそうだ。というか、非常時はあの階段を歩くしかないのだろう。 ![]() 耳障りなピコピコという警告音を発しながら、ケーブルカーは闇の中をゴトゴトと進んで行く。そして、体験坑道駅から9分ほどで青函トンネル記念館駅に到着。ホームに降り立つと機器室のような場所で、軌道を見下ろすと重そうな鉄製のドアで蓋されていく。完全に閉まったところで、出口のドアが開けられた。ここでも気圧の調整が行われているのだろう。 ![]() ドアを抜けると外の景色が目に飛び込んでくる。久し振りに見る強い陽射しで目が痛い。そのまま記念館の休憩所に誘導され、これから2時間弱のフリータイムとなる旨の説明を受けた。 という訳で、勝手気ままに見て回ろう。まずは青函トンネル記念館の館内を見て歩く。とはいえ、そう大きな建物でもないので展示物を見るのに5分も掛からない。上映されていたビデオを見ても30分程度で見学終了である。 ![]() ![]() 続いて館外へ出てみると、掘削機などが展示されているのだが、野晒しで保存状態はお世辞にも良いとは言えない。 ![]() 周囲は竜飛岬の荒涼とした景色が広がっていて、天気は良いが風が非常に強い。風力発電用の風車も幾つか見えるが、不思議なことに勢い良く回っているものもあれば止まっているものもある。全て同じように回っているものとばかり思っていたので、これは意外だった。 ![]() ところで記念館駅の建物を見ていたら、ケーブルカーを引き上げるらしい滑車が付いているのに気がついた。ケーブルは滑車から更に延びていて、道の反対側にある小屋の中に伸びている。この小屋の中に巻上げ機があるのだろう、ここのケーブルカーは単純巻き上げ式のようだ。 ![]() 記念館の裏山を登ると国道339号線に出、津軽海峡が見渡せる。さっきまであの下に居たのだが、どうしても実感が沸かない。 ![]() さて国道339号線というと、一部が階段になっていることで有名である。という訳で行ってみると、さすがに多くの観光客が行き来している。どうやら観光地として整備されたようで、階段自体も手摺りもずいぶん綺麗である。 ![]() 階段国道は思ったより長くて362段もあった。下りきったところは民家に挟まれた狭い路地で、観光客がウロウロしているのは滑稽だ。この辺りに住む方は、階段国道を歩く観光客をどのように思っているのだろうか・・・。 ![]() ![]() 362段もの階段を下って多少脚に疲れが来ているが、戻らない訳にはいかないので今度は階段国道を登る。が、半分も登らないうちに左膝が痛くなってきた。遠征中は列車に乗ってばかりなのでなまっていたのだろう。途中にあった休憩所のような場所で、ペットボトルのお茶で喉を潤して一息入れる。5分ほど休むと楽になり、再び歩き出して階段国道を登り切った。 竜飛岬は灯台も有名だが、更に階段を登らなければならないらしいのでパス。今は大丈夫だが、また膝が痛くなっては困る。という訳で、のんびり歩いて記念館に戻ってきた。が、まだ集合時刻まで30分ほどあったので、記念館の売店を冷やかし、併設の竜飛ウインドパーク展示館も見学して時間をつぶした。 ![]() 少し早めに集合場所へ戻ると、ほぼ全員が戻っていた。案内社員が人数を確認し、記念館の体験証明書とケーブルカーの乗車券を配布。 ![]() 引き続き、ケーブルカーの発車時刻まで雑談形式の説明となる。 案内社員「青函トンネルは掘り始めてから開通まで40年掛かったが、ユーロトンネルは8年ほどで開通した。なぜユーロトンネルはこんなに早く開通出来たと思いますか?」 私はピンと来たのだが敢えて黙っていると・・・ 見学者A「地質が違ったから。」 案内社員「そういった面もありましたが、他にもっと大きな理由があるのですが。」 暫く静寂が流れたが誰からも答が出そうにない。案内社員が諦めて説明を始めそうになったので・・・ 私「ユーロトンネルは、青函トンネルの技術を使って掘ったから。」 案内社員「そうです、その通りです。青函トンネルを掘り始めた時には、海底トンネルの掘削技術は全くと言っていいほどなかった。だから、勉強しながら掘っていたので40年掛かった。ユーロトンネルは、青函トンネルという教科書があったから8年で開通出来たのですね。」 続いて色々と説明戴いたが、知っていることばかりだった。但し、決して詰まらなかった訳ではなく、自分の知識を確認する良い機会であった。 やがてケーブルカーの発車時刻が迫り、ぞろぞろと記念館駅へ向かう。 ◆青函トンネル記念館(15:38発;青函トンネル竜飛斜坑ケーブルカー)→体験坑道 ケーブルカーに乗り込むと、ホーム出口の扉が閉められ、軌道の鉄製ドアが開きだす。まるでサンダーバード秘密基地のようだ(笑)。そしてケーブルカーは、また警告音を響かせてゴトゴトと下っていく。が、気のせいか登りより速度が速い。つるべ式でなく単純巻上げ式だからという頭があるからそう感じるだけかもしれないが。 ともあれ、9分ほどで体験坑道駅に到着。駅には多くの見学者がいて賑やかで、地上からの見学ルートは繁盛しているようだ。 ![]() 帰りは、掘削の模様が再現された展示物が並ぶ見学通路を通る。 ![]() ![]() そして、再び気圧調整用らしき2つのドアを抜けて避難所へ戻ってきた。ここでJR北海道の増収タイム! 竜飛海底駅限定オレンジカード(5種類)の即売が行われたので、ついつい1枚買い求めてしまう。 ![]() 避難所にも展示物があるが、小さな水槽2つしかない竜宮水族館は少々お間抜け。 ![]() さて、お名残惜しいが海底駅見学はこれにて終了である。再び作業坑だった見学通路を歩いて竜飛海底駅へと戻るが、途中に本坑をくぐっているらしきトンネルが分岐しているのを発見。恐らく、上り線のホームに繋がっているのだろう。 ![]() 竜飛海底駅に戻ると、まだ[白鳥11号]の発車時刻まで5分ほどあったのでホームからの見学が許された。さすがに新幹線サイズなので、軌道は広いしトンネルの断面も大きい。 ![]() やがてトンネル内に警告音が鳴り響き、[白鳥11号]の眩い前照灯が近付いてきた。 ![]() 航空機が一般的な交通機関となってしまった今の時代、このトンネルを通って渡道する人は全体の1割にも満たないだろう。結果としては、揶揄されていた通り世界三大馬鹿工事だったのかもしれない。ただ、青函トンネルを開通させるため開発された多くのトンネル掘削技術が、世界各地のトンネル掘削や地下鉄建設に役立っているという事実は無視できない。 何年後になるのか、また本当にその日が来るのかは解らぬが、青函トンネルに新幹線列車が走る日を気長に待っていようと思う。 さて青函トンネルの海底駅は、今回私が見学した本州側の竜飛海底駅の他、北海道側には吉岡海底駅がある。竜飛海底駅の見学コースは冬季休業となるが、吉岡海底駅は通年見学出来、コースも1日2往復半設定されている。 詳しくは、JR北海道函館支社サイト内の青函トンネル案内ページを参照願います。 ↓ http://www.hakodate.or.jp/JR/tonnel/kaiworld.htm |