|
2004年4月30日(金) 遠征初日の昨日は、山形新幹線こそ乗りつぶしたものの、東北地方へのアプローチみたいなもので、今日から本格的な乗りつぶし行程が始まる。 8時過ぎにホテルをチェックアウトし、駅へと歩く。昨日に続いて好天に恵まれそうで、強い陽射しが照り付けているが、朝の冷え込みは厳しくてウインドブレーカーを着ていても寒い。まぁ、昼になれば暖かくなるのだろうが。 さて、本日最初のターゲットは秋田内陸縦貫鉄道である。秋田内陸縦貫鉄道は、国鉄鷹角線として計画されていた路線で、部分開業していた阿仁合線(鷹ノ巣〜比立内)と角館線(角館〜松葉)を、未成線部分と合わせて3セク転換した鉄道事業者である。私は、国鉄時代に阿仁合線と角館線を踏破しているので、未踏破区間は松葉〜比立内間ということになる。 秋田内陸縦貫鉄道の角館駅は、JR角館駅の横にこじんまりと位置していた。駅に入って鷹巣までの乗車券を購入し、改札を通ってホームに入る。行き止まりの片面ホームでは、8時55分発の鷹巣行きレールバスが発車準備をしていた。 ◆角館(8:55発;秋田内陸縦貫鉄道鷹巣行き普通)→鷹巣 15名程度の乗客を乗せて発車した列車は、左にカーブを切って田沢湖線と分かれると、淡々とした走行で田園地帯を走り出す。と言いたいところだが、車内では発車間際に乗り込んできた地元TV局の撮影クルーが旅番組の収録をやっているので落ち着かない。ろくすっぽロケハンもしていないのだろう、台詞を喋っている最中にトンネルに入ったりし、30秒ほどのシーンを撮るのに6テイクもやっていた。 さて、私が国鉄角館線を踏破したのは20年前で、しかも3月初旬で雪が降り積もっていた事もあって、ほとんど車窓は印象に残っていない。暫く田園地帯を走り、桧木内川に沿って山に分け入って、角館線時代の終点だった松葉に到着。島式ホームの交換可能駅を予定していたようだが、レールは片方にしか敷かれていない。 松葉を出ると未踏破区間に入るが、桧木内川に沿って走っていくのはそれまでと変わらず、新線区間なのに意外とトンネルが少なく、車窓は山と川ばかりが支配し、民家はほとんど伺えない。が、戸沢を出て暫くすると長いトンネルに入った。トンネル内で上り勾配から下り勾配に転じ、トンネルを抜けると打当川沿いの狭い盆地に出て、阿仁マタギに停車。マタギとは熊猟師のことを指し、阿仁町にはマタギが多いのでこんな駅名にしたらしいのだが、職業名を駅名に採用するとはずいぶん思い切ったものだと思う。例えば、京阪に北浜証券マンという駅があるようなもの(ちょっと違うか)なのだから・・・。それはともかく、マタギが多いということは、車窓から見える山には野生の熊が多く棲んでいるのだろう。確かに、手付かずの自然が残っているようには見える。 阿仁マタギを出ると、トンネルに挟まれた奥阿仁に停車し、国鉄阿仁合線の終点だった比立内に到着した。これで目出度く、秋田内陸縦貫鉄道は踏破達成。比立内は島式ホームの交換可能駅で、4分ほど停車して角館行き急行[もりよし1号]と交換する。急行[もりよし]は専用車輌で1日1往復運転されていて、3セクとしては珍しい有料優等列車である。行程に合えば乗りたかった列車なので注目していたら、2連のなかなかキレイな車輌がやってきた。が、乗車率はそれほど高くないように見える。 比立内を出ると、阿仁川に沿って下っていく。私が国鉄阿仁合線を踏破したのは20年以上前の夏なのだが、その頃からほとんど景色は変わってないように思う。阿仁合では6分ほど停車し、弘前からの直通臨時快速[角館武家屋敷とさくら号]と交換する。停車駅と所要時間は[もりよし1号]とほとんど変わらず、しかも乗車券だけで乗れるからか、[もりよし1号]よりずいぶん乗車率が高い。勿論、弘前(8時09分発)から直通運転という利便性もウケているのだろう。 阿仁合からは乗ってくる人が多く、そのほとんどが老人だ。互いにあれやこれや話しているが、方言がキツくて何を話しているのか全く聞き取れない。まるで異国の列車に乗っているような気分である。 終点の鷹巣には、定刻の11時15分に到着。角館から2時間20分掛かったが、新幹線の京都→東京より短く感じた。運転席横の運賃箱に乗車券を放り込み、ホームに降りる。ホームはJRの鷹ノ巣駅に繋がってるが、乗り継ぎ時間があるので駅前へ出てみる。JRの駅舎と秋田内陸縦貫鉄道の駅舎は別個の建物が並んでいて、其々の前にタクシー乗り場がある。が、どちらも人通りは少なくて、のんびりとした時間が流れている。 秋田内陸縦貫鉄道は鷹巣駅だが、JRは鷹ノ巣駅と表記する。まるで三宮と三ノ宮みたいだと思いながら、今度はJRの改札を通ってホームに入る。ここからの行程は、周遊きっぷの行き券ルートに戻り、奥羽線を大鰐温泉まで下って、弘南鉄道の踏破を目指すこととなっている。しかし、次の奥羽線下り列車(鷹ノ巣11:39発)は大館止まりで大館から先の接続もないので、後続の青森行き普通列車(鷹ノ巣12:39発)で行くのと同じ結果となる。何れにせよ1時間のインターバルが発生するのだが、取り敢えず大館まで先行することにした。 ◆鷹ノ巣(11:39発;奥羽線大館行き普通)→大館 大館行き普通電車は2連のワンマン運転で、ソコソコの乗車率。大館までは17分ほどの道程である。 駅前に出てみると、忠犬ハチ公の銅像が建っている(座っているが)のに気が付いた。ハチ公生誕の地が大館だとは、このとき初めて知った。 さて、前述の通りここで1時間のインターバル。ちょうどお昼時なので、有名な比内地鶏を食べる。 ◆大館(13:00発;奥羽線青森行き普通)→大鰐温泉 秋田からやってきた青森行き普通電車は、701系4連の長大編成(?)なので車内は閑散としていた。淡々とした走行で、大館から30分ほどで大鰐温泉に到着。 再び周遊きっぷ行き券ルートから外れ、弘南鉄道の踏破を目指す。JRは大鰐温泉駅、弘南鉄道は大鰐駅と駅名は異なるが、隣接していて跨線橋は共用している。自動券売機で中央弘前までの乗車券を購入して改札を抜け、弘南鉄道の乗り場へ向かうと、既に14:20発の中央弘前行きとなる2両編成の電車はホームに停まっていた。車内は無人でドアも閉まっていたが、半自動扱いになっていたのでボタンを押してドアを開けて乗り込んで待つ。 発車時刻の10分ほど前から、漸くポツリポツリと乗客が乗って来た。が、空席も多い状態で発車時刻を迎えた。 ◆大鰐(14:20発;弘南鉄道大鰐線中央弘前行き普通)→中央弘前 定刻に大鰐を発車した電車は、プイっと右にカーブを切って奥羽線と別れ、民家の間をすり抜けて平川の右岸に出る。奥羽線は大鰐温泉を出るとすぐに平川を渡るらしく、対岸に架線柱が並んでいるのが伺える。 大鰐から2駅目の鯖石で、大鰐行き電車と交換。これが右側通行での交換で、ローカル民鉄(近年、JRでも多くなったが)ではよく出くわす光景だが、未だに違和感を覚える。鯖石を出ると、こちらも平川の左岸に渡って石川に到着。奥羽線にも同名の石川駅があるが、場所的には次の義塾高校前の方が近い。その義塾高校前までの駅間で奥羽線をオーバークロスするのだが、これがまたむちゃくちゃ貧相な高架橋で、今にも折れそうに見えてスリル満点である。その高架橋に上がると、正面に岩木山が姿を現した。岩木山は青森県の名山として有名で、美しい円錐形を見せて聳え立っているのだが、いつの間にか太陽が雲に隠れ、おまけに霞掛かって稜線が薄っすら見える程度である。 次の津軽大沢駅には検車所が併設されていて、見るからに古い電車が保存されるともなく放置されていた。さて、のんびり田園地帯を走ってきたが、千年辺りから車窓に民家が多くなり、各駅で数人ずつ乗ってくる。そして、弘高下を出ると用水路のような土淵川の川っぺりに出、右に左にカーブを切りながらノロノロと進んで終点の中央弘前に到着した。 中央弘前駅は、住宅地のど真ん中に流れる用水路のような川っぺりにあって、非常にゴチャゴチャした印象を受ける。また、意外と利用者は多いようで、乗る人と降りる人が狭い駅舎内に入り乱れて非常に落ち着かない。 さて、次に踏破を目指すのは弘南鉄道弘南線である。ところが、同じ弘南鉄道でも弘南線はここではなく弘前駅に発着している。中央弘前駅と弘前駅は、直線距離で1kmほどという位置関係にある。という訳で、お得意の(?)徒歩連絡ミッションを発動させる。 中央弘前駅と弘前駅を直線状に結ぶ道はないので、交通量の多い県道を遠回りして歩いて行く。日は陰っているが、湿度が高くて少し蒸し暑い。今朝の天気予想で、夕方から雨が降ると言っていたのを思い出した。 雨に降られないうちにと、少し速足で歩いたので、20分程度でJR弘前駅に到着した。が、弘前駅は駅舎改築工事中で、仮駅舎への入り口が解りづらくて少し手間取った。と、書き忘れていたが、弘南鉄道の弘前駅は、JRの弘前駅と同じ駅である。 自動券売機で黒石までの乗車券を購入し、改札を抜ける。さすがに大鰐とは違い、人の行き来が多い。跨線橋を渡って弘南鉄道の乗り場へ行くと、出来たてホヤホヤに見える真新しいホームだった。 ◆弘前(15:30発;弘南鉄道弘南線黒石行き普通)→黒石 こちらも大鰐線同様2両編成の電車であるが、利用者は多くて立ち客数名程度の乗車率で弘前駅を発車した。暫く奥羽線と併走し、左にカーブを切って奥羽線と別れると東工業高前に停車。ここから多くの学生が乗ってきて、100%近い乗車率となる。うっかり忘れていたが今日は平日だ。どうやら下校ラッシュに巻き込まれたみたい。 暫く住宅地の中を走っていたが、次の運動公園前を過ぎるといきなり田園地帯に変貌。小駅に停車して数名ずつの学生を降ろしていく。東工業高前からはほぼ直線が続いていたのだが、大きく左にカーブを切って平賀に到着。ここには検車所があって、大鰐線の津軽大沢同様に旧車が放置されていた。 平賀駅近辺だけは民家が多かったが、再び田園地帯をトコトコと走って行く。駅ごとに数名ずつが降りて行くが、乗ってくる学生も多くて車内はいつまでも賑やかである。落ち着かないことこの上もないが、盛況なのはローカル民鉄にとっては目出度いこと。浅瀬石川を渡って境松を出ると、右にカーブを切って終点の黒石に到着した。 黒石駅はCOOP黒石店に隣接しており、駅前にはバスターミナルがあって予想していたより賑やかな駅だった。 さて、本日の踏破予定線区はこれにて終了。明日は朝から津軽鉄道を乗りつぶすつもりで、今宵は五所川原に宿を予約してある。黒石から五所川原へ行くには、鉄道利用だと弘前経由となって、川部までは4角形の3辺を辿るような感じ(参照:地図byマピオン)で、ずいぶん遠回りである。 行程作成時、ここを何かでショートカット出来ないか?と考え、弘南バスに思い至った。弘南バスの黒石〜川部線は、弘南鉄道が国鉄黒石線を引き継いで走らせていた鉄道線を、更にバス転換したものである。そんな路線なので、当然の事ながら運転本数は非常に少ない。それほど期待もせず弘南バスのサイトで時刻表を調べてみると・・・確かに運転本数は1日たったの5往復しかなかったが、なんと黒石で26分接続の川部行きがあって、しかも川部では五能線の列車に10分程度で接続しているのだ。お陰で、鉄道を使って弘前経由で行くより1本早い五能線の列車に乗れ、五所川原には1時間も早く着ける。 という訳で、バスターミナルの待合室に入ってみると、カウンターで乗車券を売っている。長いこと生きているが、路線バスの乗車券というモノを買うのは初めてである。にしても、鉄道で弘前へ行くより安いのには驚いた。 ◆黒石駅前(16:25発;弘南バス黒石〜川部線川部駅前行き)→川部駅前 前述の通り、今回の行程では非常にありがたい存在の弘南バスだが、今日は平日なので黒石高校前始発となっている(土休日は黒石駅前始発)。下校する学生で混雑しているかと不安だったのだが、なんとか着席することが出来た。 は良いのだが、車内は女子高生だらけである。女子高生でないのは、1名の男子高生と私と運転士だけ。途中のバス停でおばさんが乗ってきたがすぐに降り、川部駅前までずっと女子高生に囲まれての乗車となった。 さて、私は国鉄黒石線に乗ったことがあるのだが、車窓はほとんど記憶に残っていない。何か見覚えのあるものはないか?と車窓を眺めていたが、途中ちょっと気になる名前(謎)のバス停はあったものの、特に記憶を呼び覚ますようなものも発見できないまま、定刻より5分ほど早く川部駅前に到着。さて終点だとバスを降りるが、何故か降りたのは私だけで、学生たちはバスに乗ったまま。不思議に思って見ていると、すぐにまたどこかへ向かって発車していった。 川部駅で五所川原までの乗車券を購入して改札を抜ける。跨線橋を渡ってホームへ向かうと、ほとんど待つこともなく五能線深浦行き普通列車やって来た。 ◆川部(16:55発;五能線深浦行き普通)→五所川原 荒涼とした日本海の眺めで有名な五能線だが、五所川原までの車窓では岩木山が見所だ。が、いつの間にか雲に隠れて見えなくなっているので、リンゴ畑を眺めながら淡々と走っていくのみである。 川部から30分ほどで五所川原に到着。天気予想が当たったようで、ポツポツ降り始めた雨の中を、予約してあるビジネスホテル目指して歩いた。 本日の踏破路線:秋田内陸縦貫鉄道/弘南鉄道 |