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関東乗りつぶし行Vol.1
(第3日目)

雪に覆われた無人の終着駅(吾妻線大前駅)
雪に覆われた無人の終着駅(吾妻線大前駅)

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2003年12月31日(水)

今朝も冷え込みが厳しい。足早に(正面の看板ぐらい直せよ)へ向かい、改札で青春18きっぷに日付印を押してもらって、昨夕降り立ったホームへ向かう。と、ちょうど電車が到着したようで、降車客が通路一杯に広がってぞろぞろ歩いてくる。仕方なく通路の隅でやり過ごしてからホームに着くと、8時21分発の高崎行きとなる電車が停車していた。
取り敢えず、先頭に回って撮影しようと歩いていると、不意に電車のドアが閉まったから驚いた。慌てて電車に駆け寄りながら時計を見ると、まだ発車時刻まで5分以上ある。と、エアの抜ける音がしてドアの間に隙間が出来た。車内では半自動扱いにする旨の放送が行われたのだろうが、ホームには全く聞こえなかったから、一瞬 乗り遅れたかと思って肝が冷えた。
撮影後、半自動設定ではむちゃくちゃ重くなる115系のドアを、どっこいしょと開けて乗り込む。

◆小山(8:21発;両毛線高崎行き普通)→桐生
定刻に発車した電車は、新幹線の高架橋下から這い出すように左へカーブを切って東北線と分かれる。
両毛線は、東北線の小山と高崎線の新前橋(高崎)を結ぶ路線である。どちらも新幹線駅で、東京からは100km前後しか離れていないので、それなりに発展している。が、それらを相互に結ぶ両毛線のような路線は、意外と発展し切れていないことが多い。
小山遊園地の横をすり抜けると、車窓にはめっきり民家が少なくなって、田畑が広がる。線路脇に牛舎が見えたりして、完全に田舎の風景である。が、昨夕乗ってきた東武日光線をアンダークロスする頃から、俄かに沿線が賑やかになってきた。高架橋に駆け上がって栃木に到着。栃木市の代表駅だが、県名と同名の栃木市は県庁所在地ではなく、昨日降り立った宇都宮に比べればかなり小さな街である。
栃木を出ると、再び田畑の中を走って行く。岩船からは複線になり、東北自動車道をアンダークロスすると、今度は車窓に工場が多くなってきた。そして、頭上を越えた線路が右から寄り添ってきて佐野に到着。あちらの線路は東武佐野線で、これにもそのうち乗りに来なければと思う。暫く停車し、対向列車が来てから発車。佐野から先は再び単線で、車窓も再び田園風景となる。と、右の車窓に、山頂近くに白い文字で『大小』と書かれた山が見えてきた。京都の大文字とは様子が異なるが、ここからハッキリ読めるぐらいなのだからずいぶん大きな文字のはずだ。帰宅後調べてみると、この山は文字通り大小山というらしく、天狗の棲む霊場という言い伝えがあって、麓にある神社の御神体の大天狗・小天狗を敬う意味で掲揚されているものらしい。
次の足利はそこそこ拓けた街で、左に沿う渡良瀬川の対岸には東武伊勢崎線の足利市駅が位置する。この辺りから、再び車窓には工場が多くなる。そして、また高架橋へと駆け上がって桐生に到着。

両毛線の踏破中だが、ここで中断して わたらせ渓谷鐵道の踏破を目指す。わたらせ渓谷鐵道は、国鉄足尾線を転換した第3セクター鉄道事業者で、桐生から間藤までの路線である。
桐生は2面4線の高架駅で、わたらせ渓谷鐵道へは改札を通らずに乗り換える事が出来る。が、一旦出場して間藤までの乗車券を購入して入場。こんなところ(と言っては失礼だが)にも、Suica読取機の付いた自動改札機が設置されていたのには驚いた。



◆桐生(9:42発;わたらせ渓谷鐵道間藤行き普通)→間藤
ホームに上がり、既に停車していた間藤行きのレールバスに乗り込む。転換クロスシートに席を占め、発車を待つ間に車内を見回していたら、一日乗車券を発売している旨の広告が目に入った。それも、間藤までの往復運賃よりも安いではないか。知っていれば使ったのだが、普通に乗車券を買ってしまった今となっては後の祭り。遠征前に、わたらせ渓谷鐵道の公式サイトを見たのだが、こんな情報は欠片も載ってなかった。
ともあれ、定刻に桐生駅を発車。半数近くの座席が埋まっており、思ったより乗車率は高い。暫く両毛線と併走し、渡良瀬川を渡って最初の駅下新田に停車。両毛線には駅はないが、電留線が何本か敷かれていて115系電車が憩っている。下新田を出ると、右へ大きくカーブを切る。と、左車窓の一段高いところに東武桐生線が見えてきて、併走するように相老駅到着。ここで4分ほど停車し、上り列車と交換。その間に東武桐生線の電車が発着したが、こちらに乗り換えて来る乗客は皆無だった。
相老を出ると、上毛電鉄をアンダークロス。東武桐生線も上毛電鉄も未踏破なので、また乗りに来なければと思う。
車窓には民家が多かったのだが、大間々を出ると山間に分け入っていく。右の車窓に渡良瀬川の渓谷を見下ろし、時折断崖にへばりつくような所もあって、ちゃーんとわたらせ渓谷鐵道である。車内の自動放送も、渡良瀬川の渓谷に関する内容を喋っているようだが、唸るエンジン音でほとんど聞こえないのは残念。ま、説明がなくても、渓谷を見下ろしているだけで充分楽しめるのだが。
そんな渓谷の眺めを満喫して、神戸に到着。ホームに引退車両を流用した『列車のレストラン 清流』があるのだが、どうやら年末年始はお休みのようだ。
神戸を出ると、長いトンネルに突っ込む。草木ダムの建設に伴って付け替えられた新線である。トンネルを抜けると、渡良瀬川の左岸に渡って沢入に到着。以前はこの間に草木という駅があったらしいのだが、ダム湖の底に沈んでいる。
渡良瀬川に沿って遡上していくうちに、残雪が多く目に付くようになってきた。渡良瀬川の河原も白く、なかなか風情のある眺めである。
山影で日が当たらないのだろう、ホームに多くの雪が積もったままの原向を出ると、再び渡良瀬川を渡る。と、左の車窓に朽ち果てた巨大な工場のような建物が見えてくる。これは旧選鉱所とのことで、足尾銅山が華やかなりし時代には、フル稼働していたことだろう。足尾銅山は1973年に閉山となったが、廃坑の洞内をトロッコ列車+徒歩で見学できる『足尾銅山観光』という観光施設が出来ている。その足尾銅山観光の最寄り駅である通洞でほとんどの乗客が下車し、車内は閑散となってしまった。次の足尾駅構内には、ボロボロのキハ35が保存されるともなく放置されている。木造駅舎も立派だが、御多分に漏れず無人駅となっていた。
足尾を出たレールバスは、エンジンを唸らせてのんびりと勾配を登って行く。そして、最後にもう一度渡良瀬川を渡って、燃料が切れたような感じで終点の間藤駅に到着した。

間藤は片面ホームの無人駅だが、レールはまだ先に延びているので終点っぽくない。足尾線は、間藤からこの先にある精錬所までの貨物輸送をやっていたので、そのレールが残っているのだ。駅前には県道が通っているがクルマは全く通らないし、辺りには商店すら見当たらなくて気味悪いぐらい静かだ。
あまりにも静か過ぎて歩いてみる気にもならず、近年建て替えられたと思しき小奇麗な駅舎の中に入ってみると、故宮脇俊三氏に関する展示物があり、記帳ノートも置かれていた。間藤は、宮脇氏が当時の国鉄全線踏破を達成した記念の地である。

◆間藤(11:38発;わたらせ渓谷鐵道桐生行き普通)→桐生
28分停留の折り返し列車で間藤を辞す。間藤の駅には自動券売機のような気の利いたものはなかったので、車内の整理券発行機から整理券を取る。一日乗車券を買えていればと、今更ながらに思う。
帰途は下り勾配なので、ほとんどニュートラルのまま惰行で楽々と走っていく。行きと同様に渡良瀬川の眺めを満喫し、桐生へ戻ってきた。ここでの精算は車内で行う。整理券と運賃を料金箱に入れると、運転士から精算済証が手渡された。
ところで、桐生の駅前には上毛電鉄の西桐生駅が位置するはずなのだが、周りの建物に埋もれているのか、高架ホームからでもその存在は確認出来なかった。

◆桐生(13:22発;両毛線高崎行き普通)→高崎
再び両毛線に戻って乗りつぶしを続ける。渡良瀬川を渡って右に別れて行くわたらせ渓谷鐵道を見送ると、東武桐生線をアンダークロスする。暫く田園地帯をのんびり走り、沿線に家が建て込んできたなと思ったら、左から東武伊勢崎線が寄り添ってきて伊勢崎に到着。この辺り、あちこちで東武を見掛ける。それも、ほとんどが未踏破路線である。そのうちまた乗りに来なければと、その度に思う。
伊勢崎を出て北関東自動車道をアンダークロスすると、次の駒形から複線となった。線路の状態もよく、それまでのんびり走っていたのが別人のように速度を上げ、高架橋へと駆け上がって前橋に到着した。さすがに県庁所在地駅で、周囲は建物が建て込んでいる。が、前橋を出ると単線になり、のろのろと走って行く。やがて、左にカーブを切りながら地平へ降りると、右から上越線が寄り添ってきて新前橋に到着。
これで目出度く両毛線も踏破完了となったのだが、電車は上越線に乗り入れて高崎へ向かう。

北関東最大の鉄道の要衝である高崎駅は、さすがに乗り換え利用が多いのだろう人の行き来が多い。さて、乗り継ぎ時間を利用して、立ち食い蕎麦を食べておくとしよう。今日は大晦日だ。



続いて、吾妻線の踏破を目指す。吾妻線は、渋川で上越線から分かれて大前へ向かう路線であるが、運行形態は単純ではない。上野からの直通特急を始め、半数以上の列車が終点一駅手前の万座・鹿沢口までしか行かず、末端区間の万座・鹿沢口〜大前間には1日5往復の普通電車しか運転されていない。5往復は決して少ない数字ではないが、朝の2本は6時台だし夕方の1本は日暮れ後になってしまう。しかも、行き止まりの路線で往復に3時間も掛かるので、日中に往復するのは効率が悪い。という訳で、これから乗る高崎14時39分発の大前行き(大前到着は日没間近の16時37分)がベストの選択肢なのだ。今回の遠征行程では、吾妻線のこの列車が最大のキーポイントだった。

◆高崎(14:39発;上越線〜吾妻線大前行き普通)→大前
立つ人も多い状態で高崎を定刻に発車した電車は、渋川で上越線と分かれて吾妻線に足を踏み入れる。と、俄かに上り勾配がキツくなり、電車はモーターを唸らせて登って行く。吾妻線に入って最初の駅 金島を出ると、一昨日乗った上越新幹線をアンダークロスする。にしても、下から見上げるとずいぶん高いところを走っていて、次の祖母島駅からでも充分に見えるぐらいだ。
やがて電車は、吾妻川の渓谷を見下ろして走るようになる。小野上駅の側線に、ホッパー車が何両か繋がれて停まっているのを発見。その向こうに山となっている砂利を運ぶ貨物列車が設定されているのだろうか、昔はよく見掛けた光景で非常に懐かしく感じる。
小野上を出ると更に険しい渓谷に沿って登って行く。やがて、ちょっと広めの平地へ出て中之条に停車。ホームの向かい側に、交換する高崎行き普通電車が停車しているだが、ここでそれを追い越す特急[草津6号]とも交換するため、6分ほど停車。高崎を出てから初めて纏まった下車があって、漸く空席が出来た。
中之条を出て暫くすると、再び吾妻川の渓谷に取り付き、小さな駅にこまめに停車しながら進んでいく。そして、岩島を出ると崖っぷちの際どいところに出、ひとつトンネルを抜け、またトンネルに入ったかと思ったら一瞬で抜けた。これが日本一短い樽沢トンネルで、長さは7.2mしかない。予め知っていなかったら、トンネルとは思わないかもしれないなと考えていると、次の長いトンネルに突っ込んだ。
草津温泉へ向かうバスへの乗換駅である長野原草津口で、多くの人が下車して車内は閑散となった。長野原草津口から先はトンネルが多くなる。そして、トンネルを抜ける度に車窓に雪が目立つようになってくる。
吾妻線の半数以上の列車が終着となる万座・鹿沢口を出ると最終区間。ちょっと長めのトンネルを抜け、国道144号線と並んで吾妻川を2度渡り、最後にもう一つトンネルを抜けて、終点の大前に到着した。

大前駅は片面ホーム1線のみしかなく、ホームから先100mぐらいまで路盤があってレールが敷かれているようだ。「ようだ」というのは、電車が停車したところから先は1mも除雪されておらず、路盤が雪に覆われて見えないから。
ホームは除雪されているが、道路へ繋がる階段は溶けた雪が凍ってアイスバーンになっている。手摺りを持ってコケないように注意しながら駅前へ出ると、ホームの裏に小さな駐車場があるだけ。
道を渡ったところには、小さな温泉宿が建っている。時間があれば一風呂浴びていくのだが、停留時間は25分ほどしかなく、カラスの行水だと湯冷めするのが確実な寒さだけに諦めた。取り敢えず、吾妻川に架かる橋の上まで行ってみる。河原に雪が積もった渓谷は美しいが、立ち止まって眺めているのは寒い。いつまでもうろついていると風邪をひきそうなので、早々に電車に乗り込んで待つことにする。
駅に戻り、海抜840.4mという表示を発見して驚いた。奇しくも昨年の大晦日に訪れたJR西日本の最高地駅である三井野原(726.81m)より、100m以上も高いのだ。こりゃ寒くて当たり前やと思いつつ、トイレで用を足してから隣の小さな待合室を覗いてみると、列車が5本しか載っていない発車時刻表が掲示されていた。

◆大前(17:03発;吾妻線〜上越線高崎行き普通)→高崎
折り返しの普通電車で高崎へ戻る。今年の乗り納め列車となるのだが、すっかり日が暮れてしまったので高崎までの2時間弱は非常に退屈な乗車だった。

今日は珍しく乗り継いだ列車は6本と少なかったが、長時間乗車が多かったためか妙に疲れた。大前に比べれば暖かいなと思いながら、予約してあるホテル目指して歩いた。


本日の踏破線区:吾妻線/両毛線の一部区間(栃木〜新前橋→全線踏破達成)/わたらせ渓谷鐵道
 

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