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四国東南部乗りつぶし行
(第1日目)

瀬戸大橋を渡って四国入り
瀬戸大橋を渡って四国入り

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このトシになっても、未だ四国本土へは足を踏み入れたことがない私には、当然の事ながら四国は未踏破路線だらけの魅力的な地である。
四国の鉄道路線を乗りつぶすに当たっては、四国ゾーン周遊きっぷを利用するのが一般的である。その気になれば6日間で全線踏破が可能な四国ではあるが、周遊きっぷのゾーン券は有効期間が5日間なので、焦らず2回に分けて乗りつぶそうと思う。
まず初回の今回は、GW休暇を利用して3泊4日の行程を組み、四国の東南部を重点的に乗りつぶそうと画策した。

今年のGWは暦の巡りが悪く、暦どおりの休日となる企業は全体の半分程度だとか。私が勤める会社は、幸いにして4月27日から5月5日までの9連休となったので、それほどの混雑はないと予想される4月28日から4日間(=祝日1日、平日3日)の行程とした。



2003年4月28日(月)

新大阪9時12分発の広島行き[ひかり111号]は、300系の16連。岡山までの停車駅は[のぞみ]と同じ速達版の[ひかり]であるが、新大阪での下車が多く、喫煙自由席の乗車率は40%程度であった。
特に改めて書き記すこともなく、定刻の10時03分に岡山に到着。乗継時間に余裕があるので、駅構内の喫茶店で朝食兼昼食を摂る。

四国入りに選択したのは、10時52分発の徳島行き特急[うずしお9号]。中村行き特急[南風3号]との併結列車である。[うずしお]が岡山まで乗り入れるのは1日2往復のみで、新幹線を介して本州の主要都市と徳島を直結する貴重な列車なのだが、乗車率は悲しいほど低く、私が乗り込んだ喫煙自由席などは5名しか乗っていない。
そんな閑散とした状況で岡山を定刻に発車した[南風3号]+[うずしお9号]は、力強く宇野線を走行する。さすがに新世代の気動車で、特に中速域の加速性能が優れているように思える。

茶屋町を通過して本四備讃線に入ると、長大トンネルの連続である。トンネルとトンネルの合間に小さな駅があって通過するが、防音壁が高くて眺望が効かない。非常に新幹線チックな走りだが、床下ではディーゼルエンジンが唸っていて、ちょっと奇妙な感覚に陥る。

児島で乗務員が交代し、いよいよJR四国区間に足を踏み入れる。鷲羽山のトンネルを抜けると、瀬戸大橋を渡る。正確には、下津井瀬戸大橋・櫃石島橋・岩黒島橋・与島橋・北備讃瀬戸大橋・南備讃瀬戸大橋という6つの橋が連なっているのだが、大抵は瀬戸大橋と一括で呼ばれてしまっている。
ともあれ、本州と四国を陸路で結んでしまった最初の橋梁である。スカイゲートブリッジと同様の鉄道道路併用橋で、頭上に瀬戸中央自動車道が覆い被さっているのが鬱陶しいが、トラスの合間から見える瀬戸内海の風景は悪くない。ただ、今日はちょっと霞がかっているのが残念だ。視線を下方に移すと、はるか遠くに水面が見える。
瀬戸大橋は、とにかくスケールが大き過ぎる。よくぞここまで巨大な構造物を作れたものだと感心するばかりである。

瀬戸内の眺めを堪能しているうちに、四国に乗り入れた。瀬戸中央自動車道の下から這い出すように右へカーブを切ると、左に快速[マリンライナー]などが通る高松方面への短絡線が分岐していく。我が[うずしお9号]も高松を経て徳島へ向かう列車なのだが、併結相手の[南風3号]に宇多津まで付き合うので直進。

宇多津に到着すると[南風3号]と別れ、3連の身軽な出で立ちとなった[うずしお9号]は、進行方向を逆にして高松へと向かう。車内が閑散としているのを良いことに、前列のシートを回転させ、脚を投げ出して車窓を楽しむ。ところが、同じ瀬戸内ということもあってか、初夏の陽射しに輝く水田と遠景に広がる山並みは、山陽地方とそう変わらない印象を受ける。また、今年2月に発売された『電車でGo!プロフェッショナル仕様2』に採用された区間だけに、見覚えのある風景も多い。
但し、時折すれ違う列車のほとんどは、見慣れぬJR四国の車輌なのが目新しい。

やがて、車窓に民家やビルが増えてきて、高松に到着した。高松駅は頭端式ホームのターミナルで、多くの人が乗り込んでくる。特急[うずしお]が、高松〜徳島のインターバーン列車であることを示すような光景である。

高松で再び進行方向を逆にした[うずしお9号]は、高徳線に足を踏み入れる。複線電化の予讃線から単線非電化の高徳線に乗り入れるのだが、高徳線は高速化工事が施されていて、路盤はシッカリしているし1線スルー配線も採用されているしで、予讃線に見劣ることはない。2000系気動車の走りも力強いし、振り子も良い具合に効いている。自然振り子の381系のようなヘンな揺り戻しがないので、揺れに身体を任せていると睡魔が襲って来そうになる。とはいえ、のんびり走っている訳ではなく、直線が続くところでは最高130km/hでぶっ飛ばしている。

明日乗る予定となっている琴電の長尾線をオーバークロスした頃から、左前方に上半分をスッパリ切り取ったような山が見えてくる。これは屋島に間違いない。よくよく見ると、これも明日乗る予定の屋島ケーブルの軌道が山肌を刻んでいるのも伺えた。

車窓には住宅地と田畑が交互に現れていたが、志度を出るといきなり山がちになる。讃岐津田辺りでちらりと海が見えるが、山と田畑が多い。
讃岐相生を通過すると徳島県に入る。と、高徳線は突如急峻な山道と化した。小さなトンネルを幾つも抜け、振り子を効かせながら右へ左へとカーブを切って進んでいく。やがて、峠越えの長いトンネルを駆け抜けると、原生林の真っ只中で、非常に山深い。時刻表の路線図などからは想像もつかない風景である。
時折機関ブレーキを掛けながら、惰行でどんどん山道を下ると、また車窓に民家や田畑が増えてきた。池谷で、夕方乗る予定となっている鳴門線が合流し、吉野川の立派な流れを渡って高架橋に駆け上がると、今度は佐古で徳島線が合流。そして、ゆるゆると高架から地平に降りて、徳島に到着。

徳島駅構内には徳島運転所があり、多くの気動車が憩っていた。



徳島からは、13時02分発の海部行き特急[むろと1号]に乗車し、牟岐線の踏破を目指す。[むろと1号]はキハ185系の2連だが、それでも50%程度の乗車率でしかない。

徳島の市街地を暫く走り、郊外に出ると中田という駅を通過する。昔、ここから小松島線というローカル線が分岐していた。小松島線の終点は小松島駅だったが、小松島駅構内に小松島港仮乗降場があり、実質的な終着駅は小松島港であった。小松島線は、営業距離1.9kmの国鉄最短路線で、終着駅が仮乗降場だったりと、非常に個性的な路線だったのだが、赤字ローカル線として廃止されてしまった。因みに、四国でレールが剥がされてしまった国鉄路線は、小松島線だけである。(中村線は、土佐くろしお鉄道に転換)
左の車窓を注意深く眺めていると、中田を通過した直後に、廃線跡を整備したと思しき遊歩道がチラッと見えた。

田植えが終わった直後と思われる水田と民家を眺めながら、[むろと1号]はのんびりとした走行を続ける。
纏まった下車があった阿南を出ると、山の中を走るようになる。路線図を見ると、牟岐線は太平洋沿岸に線路が敷かれているように見える。また、阿波室戸シーサイドラインなどという仰々しい愛称も付けられているのだが、実際は延々と山の中を走っていく。海が間近に見えるのは由岐辺りの一瞬だけで、ウミガメの産卵地として有名な日和佐でさえも、車内からの印象では山中の小駅のような様相を呈していた。

[むろと1号]は牟岐からは普通列車となり、徳島から1時間半ほど掛かって海部に到着した。海が見えないシーサイドラインは、非常に退屈な路線であった。
さて、海部といえば山が透けて見えるトンネルで有名である。正式名称は町内トンネルと言い、トンネル開通後に山を切り崩してしまったので、こんな間抜けな格好になったらしい。

海部から、牟岐線の延長のような感じで阿佐海岸鉄道のレールが延びている。というか、室戸経由で高知(後免)と結ぶべく建設された阿佐線の一部なので、正に牟岐線の延長区間なのである。

次の阿佐海岸鉄道の甲浦行きは、接続良く14時37分発があるのだが、まだ入線していない。[むろと1号]から降り立ったホームから、構内踏切を渡って向かい側のホームへ移動する。海部は高架駅なのに、なぜか構内踏切があるヘンな駅である。
ホームから甲浦方面を伺うと、すぐそこにトンネルがある。暫く待っていると、海部14時33分着の列車がトンネルからひょっこり顔を出し、ゆるゆると入線してきた。この列車が、折り返し14時37分発の甲浦行きとなるので乗車する。
と、車内に入って驚いた。車端部にロングシートがあって、更に転換クロスシートが並んでて・・・とここまでは良いのだが、車輌中央部には談話室のようなソファが並んでいるのだった。

さて、阿佐海岸鉄道は3セクの鉄道事業者であるが、前述の通りJR牟岐線の延長区間のようなものなので、周遊きっぷの四国ゾーン券で乗車出来るのがありがたい。とはいえ、こんな僻地(と言っては失礼だけど)にたった8.5kmほどの線路を敷いているだけなのだから、きっと赤字に違いない。だって、全線乗っても270円で済んじゃうのだから・・・。甲浦に着いたら、記念に入場券か乗車券を購入しておこうと思う。

10名程度の乗客を乗せ、定刻に発車した列車は、いきなりトンネルに突っ込む。でまた、このトンネルが長い。トンネルを抜けると、既に次のトンネルが見えている。昭和40年代に鉄道建設公団によって建設された路線には、このような線形を多く見かける。カーブが少ないので到達時間は短いが、車窓は全く面白くない。左の車窓にチラッと海が見えるが、唯一の中間駅である宍喰を出るとまた長いトンネルに突っ込み、トンネルを出たところが終点の甲浦だった。

前述の通り、室戸を経て後免へ向かうべく建設された阿佐海岸鉄道なのだが、さすがにここから先は延伸されることはなさそうで、高架橋はぷっつりと切れている
甲浦の駅舎は非常に綺麗な建物で、花壇も綺麗に整備されている。が、ホームへは横の階段から直接出入り出来るので、駅舎というより待合所というのが正解かもしれない。待合所の中には、観光案内所も兼ねた店舗があるのだが、既に営業を終えている。平日とはいえGW期間中であり、まだ15時前なのだから、商売っ気のないことったら・・・。と愚痴ってみても仕方がない。確かに、列車から降り立ったのは地元民ばかりで、物珍しそうにきょろきょろしているのは私だけで、その地元民にしても5名だけなのだから。
にしても、駅の周りには見事になにもない。なぜこんなところ(と言っては失礼だけど)に鉄道路線を引いてしまったのか、不思議に思う。

さてここからは、バスで奈半利へ抜けるというテもあるが、2時間もバスに揺られるのは億劫だし、この区間にはJRバスがないので数千円の出費を伴う。という訳で、今来た道を徳島まで延々と引き返すという行程を組んでいる。延々といっても、鉄道での2時間弱だから、それほど苦にはならない。
ところが、折り返しとなる次の列車は甲浦発16時06分なので、まだ1時間以上ある。時間があるからだろう、車輌のエンジンが止まり、列車から降り立った地元民も散ってしまったので、辺りは不気味な静寂が支配する。

物音一つしない駅舎(待合所)は薄気味悪いので、ちょっと歩いてみる事とする。幸いにして天気は良いのだが、真夏のような陽射しが照りつけていて非常に暑い。額に湧き出す汗を拭いながら10分ほど歩くと国道55号線に出、国道の向こうには太平洋が広がっていた。
国道を渡り、海岸に下りてみる。狭いながらも砂浜が広がっていて、潮風が心地よい。足元にはハマヒルガオが可憐な花を広げていたり、アオスジアゲハが忙しく飛び回っていたりする。

さて、まだ時間的に余裕はあるのだが、次の列車に乗り遅れると徳島に着くのは2時間半も遅くなってしまうので、早めに駅へ戻ることとする。帰りは町中の道を選んで歩くと、村祭りでもあるのだろう神社の前に山車が出ており、太鼓の音が聞こえた。



相変わらず音一つない甲浦駅に戻ってきた。待合所内で一服点けていると、牟岐行きのバスがやってきて、さっさと発車して行った。乗降ともゼロで、車内の乗客は1名のみに見えた。

16時06分発の列車で、トンネルだらけの阿佐海岸鉄道を海部へ戻る。甲浦を出るときは3名のみの乗車だったが、宍喰で20名ぐらいの学生が乗り込んできて賑やかになった。それにしてもこの鉄道、海部〜甲浦間だけの営業ではどう考えても収益は出ないと思われるのだが・・・。

海部で接続を待っていた16時24分発の牟岐行き普通列車はキハ40の単行。何故か行き先標示は「鳴門」となっているが、16時39分に牟岐に到着した後、17時29分発に鳴門行きという普通列車があるので、それに化けるのかもしれぬ。

牟岐までの車中は、学生の乗り降りが多くて賑やかなこと。どこの鉄道事業者でもそうだが、特にローカル線の最上客は学生である。彼(彼女)らが利用しなければ、廃止になってしまう鉄道路線が何本あることやら・・・。

牟岐でも接続良く、16時42分発の阿波池田行き特急[剣山9号]に乗り換え。キハ185系の2連で、右側最前部の座席に陣取れば、デッキを通して前面展望を楽しめる。紫煙をくゆらしながら、右へ左へと揺られつつ、山また山の牟岐線の前面展望を飽きることもなく楽しむ。
羽ノ浦から制服姿のコギャルが乗り込んできたのには驚いたが、JR四国の25kmまでの自由席特急料金は310円なので、利用しやすいのだろう。逆に、普通列車が遅くて本数が少なくて利用しにくいとも言えるのだろうが。

徳島着17時51分。今宵は鳴門に宿を予約しており、鳴門線で鳴門に入るのだが、乗り継ぎが極めて悪く、次の鳴門線は18時59分発である。仕方がないのでこの間に夕食を摂ろうと駅前に出てみたが、ホームは古めかしい感じの徳島駅なのに立派な駅ビルが建っていて驚く。内と外でこれほど印象の異なる駅も珍しい。

結局、駅ビル地下の蕎麦屋で蕎麦定食を食べ、夕闇迫るホームへ戻ってきた。18時59分発の鳴門行き普通列車はキハ47の2連で、この列車にも学生の姿が多い。
池谷から鳴門線に乗り入れる。日が暮れてからの初乗りとなってしまったが、景色は明朝眺められるので心苦しいことはない。

鳴門駅は島式ホーム1面の駅。どうやら駅の営業時間は終わっているようで、運転士にゾーン券を示して下車する。ホームの端にあるスロープを下り、構内踏切を渡って改札を抜ける。小ぢんまりした平屋の駅舎で、想像していたより小さな駅だった。

すっかり暗くなってしまった鳴門の街を、予約してあるホテル目指して歩いた。


本日の踏破路線:本四備讃線(茶屋町〜宇多津),予讃線の一部区間(高松〜宇多津),高徳線(高松〜徳島),牟岐線(徳島〜海部),阿佐海岸鉄道(海部〜甲浦),鳴門線(池谷〜鳴門)
 

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